★皇太子さまご来伯お待ちしています 護衛官の大任に思い新た 皇室との交流続く西礼三元軍警大佐
今年六月の皇太子殿下ご来伯を楽しみにしている人がいる。一九八二年に初来伯した浩宮さま時代に
サンパウロで護衛官として警備を担当した西礼三元サンパウロ軍警大佐だ。また、西氏は、天皇陛下、
皇后陛下が皇太子時代に二度護衛官として警備に当たり、今でも交流が続いている。昨年十一月の
美智子妃殿下のお誕生日に打ったお祝い電報に侍従からお礼の手紙が届いたのだが、その中に
入っていた美智子妃殿下の誕生日の記者会見でのお言葉に感激し、想いを新たにしている。
■移住者の幸願う美智子さま 在日日系人への温かいお言葉を
毎年、西氏は、天皇誕生日、皇后誕生日に欠かさず、電報を打電している。昨年も皇后陛下の
誕生日に祝電を打った。その電文の中に来年がブラジル日本移民百周年であることを入れ、
日系コロニアが皇室のご来伯を心待ちにしていることを伝えた。
十二月になり、西氏のもとに宮内庁侍従から礼状が届いた。「この度は、皇后陛下宛てに御誕生日の
御祝いの電報をお送りくださいましてありがとうございました。早速にお手許にお上げいたしましたところ、
皇后陛下より、御祝いの言葉に対し厚く御礼をお伝えするよう承りました」とあり、続いて、「また、
頂戴しました電報に言及のございました、来年のブラジルの日系移住者の移住百周年に関して、
皇后陛下が、この度の御誕生日に際しての記者会からの質問へのご回答に触れられておられますので、
今回の記者会からの回答への回答文を合わせてお送り致します」と書き添えられていた。
礼状の中に昨年十月二十日に行われた宮内庁記者会が行った皇后陛下とのインタビューの質問
事項とご回答全文が同封されていた。
「以前からの興味に加え、新たな関心事や趣味があればお聞かせください」という質問に対し、
皇后陛下は次のようにご回答になった。
「新しいということではなく、これまでの関心につながるものですが、来年はブラジルの日系移住者の
移住百周年に当たります。この度は残念ながら現地にはまいれませんが、日本にあって、陛下と
ご一緒にこれまでの各国への日系移住者の苦労を思い、移り住んだ国々で、人々が幸せであるよう、
祈りたいと思います。それと共に、当時から百年を経た今、日本に生活する三十万を超えるといわれる
南米からの移住者たちが、ふるさとを離れて住む困難をよく克服し、日本の社会に温かく受け入れられて
いくよう願いつつ、心を寄せていきたいと思っています」
これまで、三度にわたってご来伯された皇后陛下が、日系コロニア、在日日系人を気遣い、温かい
お気持ちがにじみ出たこのお言葉に、西氏は感激した。
「皇后陛下が日系人のことをいつまでも心の隅においていただいていることに感謝しています。
特に、日本にいる日系人は様々な問題を抱えていると聞いており、私も心を痛めていましたが、
皇后陛下も同じように思っていただき、涙が出るほどうれしかった」と語り、「この皇后陛下のお言葉を
日系コロニアの皆さんにもぜひ知って欲しい」と本紙を訪れた。
また、西氏は、皇太子殿下が六月に来伯されることに触れ、前回(一九八二年)のご来伯時の思い出を
語ってくれた。
「明るくて、はきはきとした話しぶりが印象的でした。僕の日本語が上手でないことを気遣われ、
わかりやすい言葉で語りかけていただいたことが記憶に残っています」と当時を振り返る。
また、サンパウロ市イピランガの丘の独立記念塔を訪れられた時、西氏が独立当時のブラジルの
歴史を説明、「僕の記憶では奴隷の話もしたと思う」と懐かしそうに思い出に浸っている。そして、
「今回は皇太子殿下としてご来伯されるのを一人の日系人として歓迎したい」と再会できるのを
心待ちにしている。
2008年1月11日付
http://www.spshimbun.com.br/content.cfm?DA_N_ID=10&DO_N_ID=20743