ポーランドで中道右派のトゥスク政権が発足してから約1カ月が過ぎた。この間、
欧州地域で“善隣外交”を推し進める一方、前政権が偏重した米国との関係を軌道
修正するなど、バランス重視の外交を展開している。
ポーランドで民族主義政党、「法と正義」の保守派政権が誕生した2005年秋以降、
食肉輸入を禁止されて悪化していたロシアとの関係をめぐっては、隣国との協調を訴えて
首相に就任したトゥスク氏が先月27日、経済協力開発機構(OECD)へのロシア
加盟に賛意を示したことで“雪解け”ムードが広まった。
ロシアもこれを受けて態度を軟化させ、19日に食肉禁輸解除の覚書に署名した。
約1年間にわたって、ロシアと欧州連合(EU)間の貿易・エネルギー分野での新条約
締結を妨げてきたEU加盟国のポーランドは近く、新条約締結にも正式に賛成する意向だ。
前政権がナチスの蛮行を蒸し返して悪化させた対独関係についても、明確な変化が
表れている。
トゥスク首相は今月11日、ベルリンでメルケル独首相と会談した後、「両国は
タブーを抱えてはならない。私たちは友人だ」と強調した。ドイツでは最近、
第二次大戦後にポーランドから追放されたドイツ人(1200万人以上)に関する
記念館建設構想が浮上し、ポーランドから猛反発を受けている。新政権は、大戦の
きっかけの地であり、冷戦終結の象徴ともいえる造船所が位置する同国北部
グダニスクに記念館を建設する案を提示し、柔軟姿勢をみせた。
首相は、欧州憲法を修正した改革条約(リスボン条約)を「いち早く批准する」とも
表明。諸政策で対立したEUとの関係修復にも躍起だ。
注目されるのは米国との関係だ。首相は18日、イラク駐留軍約900人を来秋、
撤退させる考えを正式に大統領に表明した。米国がポーランドに建設を予定する
ミサイル防衛(MD)問題でも、北大西洋条約機構(NATO)やロシアと協議した
上で、交渉を再開させる構えだ。トゥスク首相は親米派ながら、近隣国の懸念を
解消しつつ、米国からできるだけ軍事援助を引き出そうという外交戦略を取り始めている。
ソース YAHOO! ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071227-00000067-san-int