http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200711242224066 レバノン大統領が不在に 紛争の再発回避へフランスが積極外交
(日刊ベリタ・飛田正夫 11月24日)
【パリ24日=飛田正夫】反シリア派与党と親シリア派野党の対立が続く
レバノンで、ラフード大統領の6年の任期が11月23日の真夜中に終了
したが、議会による次期大統領の指名がなく空席状態が続いている。親シ
リア派の同大統領は「緊急事態」を発令して軍部に治安維持権を託したが、
反シリア派のシニオラ首相が率いる政府は「憲法に反する」としてこれを
拒否した。ルモンド紙(電子版)によると、政治的混乱が紛争再発につな
がることを危惧するフランスのサルコジ大統領は、クーシュナー外相をレ
バノンに派遣するなどして打開策をさぐっている。
レバノンでは2006年7月、イスラム教シーア派の民兵組織ヒズボラ
民兵とイスラエルとの戦闘で双方に多数の死者が出たほか、市民多数が犠
牲になった。
このため欧州諸国は新たな紛争の勃発を避けたいとの気持ちが強いが、
伝統的にレバノンとの関係が強いフランスが特に積極的に対応している。
サルコジ大統領は、クーシュナー外相をレバノンに派遣する一方、ゲラン
大統領官邸書記総監とダビット・レビット大統領補佐官をシリアに送り、
自らも11月20日にシリアのアサド大統領と電話で話し合った。
レバノンでは反シリア派の要人を狙う散発的なテロがパレスチナ人地区
で激しさを増しているが、新たな戦争が起こる状況までには至ってないと
伝えられている。
フランスはこれまでレバノンのキリスト教徒マロン教派を支持してきた。
2005年2月14日にテロ殺害されたアリリ首相(当時)のベイルート
での葬儀に、西欧から参列した指導者はフランのシラク大統領(当時)だ
けであった。
また、シラク大統領はサルコジ氏に大統領の権限委譲をする6日前の今
年5月10日に、アリリの息子で、反シリア派の未来連合の党首サード・
アリリに新大統領を引き合わせている。