EU:改革条約を採択 大統領設け指導力 批准で曲折も
欧州連合(EU・27カ国)はリスボンで18日開かれた首脳会議で、将来の運営方針を定めた
「改革条約」を正式採択した。12月13日にリスボンで署名式が行われ、各国は09年の発効を
目指して批准手続きに入る。ただし、英など反EU感情の強い国で批准が難航する可能性があり、
成立までには紆余曲折がありそうだ。
改革条約は、将来EUが30カ国以上になることを踏まえ、EU大統領や「外相」を創設するほか、
欧州議会とその内閣である欧州委員会を縮小し、指導力があり効率的なEUを規定した。同様の
目的で起草された欧州憲法が05年、仏などの国民投票で否決されたため、改革条約は
その重要部分を抜き出し、成立を目指していた。
EU議長国ポルトガルのソクラテス首相は会見で、「これで欧州は危機から脱し、未来に備えられる」と
表明。条約名を「リスボン条約」と命名する方針を示した。
交渉では、隣国ドイツなど「大国の専横」を懸念するポーランドが、EUの政策決定で少数派(国)の
意見を尊重するよう強く要求。結局、新たな多数決方式の全面導入を17年以降に延期し、少数派が
求めれば決定を数カ月程度延期し再検討を行える条項を入れた。
条約発効には全加盟国の批准が必要だが、英の世論調査では国民の51%が条約に反発。同国を
含め批准に国民投票を求める国民も多い。多くの国は議会手続きだけで批准したい意向だが、世論に
押されて国民投票が行われた場合、否決され発効が滞る可能性もある。
◇EU条約骨子◇
一、EUに大統領(任期2年半)と「外相」相当の外交上級代表を創設
一、欧州委員会の委員数(現27)を削減
一、欧州議会の議席数を785から750に削減
一、賛成国が加盟国の55%以上で、賛成国の人口総数がEU人口の65%以上の場合に可決する
「二重多数決方式」を17年以降に完全実施
一、少数反対国の求めでEU決定を一定期間、棚上げできる
一、各国議会にEU法案の拒否権を付与
一、EUと各国の権限配分の明確化。国家安全保障などは各国の権限
毎日新聞 2007年10月19日 12時15分 (最終更新時間 10月19日 13時06分)
http://mainichi.jp/select/world/news/20071019k0000e030041000c.html 【オランダ】バルケネンデ首相「国民投票は不要」 EU新条約を議会承認で批准へ[10/06]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1191680830/ [リスボン 19日 ロイター] リスボンで行われている欧州連合(EU)首脳会議で19日、
機構改革を盛り込んだ新基本条約(改革条約)案について最終合意が成立した。
交渉は土壇場まで続けられ、イタリアとポーランドに譲歩する形で合意にこぎ着けた。
イタリアは、欧州議会での1議席追加を求めていた。ポーランドは、意志決定についての要求のほか、
欧州司法裁判所法務官のポストを求めていた。
ポルトガルのソクラテス首相は、合意成立を祝う乾杯の後「この条約は、
欧州プロジェクトが進んでいることを示すものだ。これで、自信をもって将来に期待することができる」と述べた。
新条約は、12月13日にリスボンで調印される予定。
新条約は、加盟27カ国すべてで批准されれば、2009年に発効する。
それにより、EU大統領および大きな権限を持つ外交政策責任者ポストの新設、
より民主的な意志決定システムの構築、欧州議会や各国の議会に対する発言権の拡大などが実現する。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-28426120071019