(略)
もともと、AKP政府とトルコ軍の反目し合っている。
要するに、トルコ軍の中東施策の根幹には「国家の安全保障」という考えがあり、AKPの(中東)
地域における態度決定の根幹では「イスラーム的相互依存」の本能が働いていると言うことができる。
トルコのクルド問題もまた1つの中東問題であり、あらゆる意味で(問題の範囲が)国境を越えたため
またもイラクに対し越境軍事作戦を行うことを議論している。上に挙げた教訓となる出来事に似た
押し合いへし合いがこの問題においても見られることを覚悟してほしい。
■行動しないことによる平衡関係
まずは1つの事実関係の確認から:AKP政府は、クルド労働者党(PKK)が2004年に「停戦」を破って
以来、政治的な選好としてPKKのテロリズムに対する効果的な策を示さず、役割をトルコ軍に任せた。
トルコ軍の活動は限定的なものに留まった:例えばトルコ軍は、北イラクに周知の理由により
入れなかった。AKP政府とトルコ軍は、お互いの間で、クルド問題の安全保障面に関する1つの
平衡関係を成立させた。行動しないという平衡関係を...
■AKPのリスク
1つの軍事作戦が行われる場合、これが成果を挙げることを目指す、包括的な、本格的で長期間に
わたるものになることは、AKPにとってリスクをもたらす。このような軍事作戦がトルコ軍にクルド問題で
イニシアチブを取らせるチャンスを与えることは、AKPにとって最も大きなリスクである。というのも
軍事作戦の実現は、AKPの足元から内に外に大きな政治的基盤を失うという結果を生み出しかねない
からだ。
アメリカ軍やイラクのクルド人との間で起こりうる軍事摩擦の政治的結末ともAKPは直面するはずだ。
実際に行われる軍事作戦は、AKPのトルコと中東における(基盤の)崩壊の引き金となり得る。
AKPはこうなることを強く予見しているのなら、実際の軍事作戦から無関係でいるために必要なことは
何でもする。AKPにとって一番いいことは、軍事作戦を全く行わないことである。あるいは短期間で
小規模な作戦を行うことである。このようにして世論をなだめつつ、外にメッセージを伝え、
行動しないという平衡関係を維持し続ける。このお遊びがどこまで続くのか見ておこう。
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20071018_041509.html 【トルコ】イラクのマリキ首相、トルコにクルド人自治区への越境軍事行動の回避求める[07/10/16]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1192581070/ 【トルコ】クルド労働者党、与党・公正発展党などへの攻撃活発化で声明[10/13]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1192282997/