【ロシア】コラム：プーチン「２０年王朝」へ布石＝佐藤優 [10/17]
1 ： ◆Robo.gBH9M ＠ロボ-7c7cφ ★：
プーチン「２０年王朝」へ布石 ロシア対外情報庁人事
６日、プーチン露大統領は、フラトコフ前首相を対外情報庁（ＳＶＲ）長官に任命した。この小さな
人事を読み解くとプーチンの野望が浮かび上がってくる。まさに「神は細部に宿りたまう」のだ。
ＳＶＲは、旧ソ連国家保安委員会（ＫＧＢ）第一総局（ＰＧＵ）の後継インテリジェンス機関である。
ロシア国外の諜報（ちょうほう）活動については、基本的にＳＶＲが行う。「基本的に」という留保を
つけたのは、軍事諜報に関しては参謀本部軍諜報総局（ＧＲＵ）が国外でも情報収集や工作
活動を行い、一部の独立国家共同体（ＣＩＳ）諸国では、ロシア国内の防諜を担当する連邦保安庁
（ＦＳＢ）が活動しているからだ。例えば、チェチェンに関して、グルジアとの国境地帯のパンキシ
渓谷に、反ロシア派チェチェン系武装集団の訓練基地が置かれている関係で、ＦＳＢがグルジア
国内でも情報収集や工作活動を行っていることは、公然の秘密だ。
ＳＶＲは、情報収集や調査、分析だけでなく、各国の要人に働きかけて、ロシアに有利な状況を
作り出す工作活動にも従事している。もっともそのような、自国国益を増進する工作活動には、
米中央情報局（ＣＩＡ）や英秘密情報部（ＳＩＳ、いわゆるＭＩ６）も従事しているが、ロシアは、情報
操作工作にたけている。また、公式には、暗殺工作には従事していないとＳＶＲは言っているが、
ＳＶＲ関係者を含め、そのことを信じる人はいないであろう。
例えば、２００３年２月１３日、カタールの首都ドーハで車に仕掛けられた爆弾でヤンダルビエフ
元「チェチェン・イチケリア」（独立派）共和国大統領が殺害された。事件に関与したとしてカタール
当局に拘束されたロシア人２人は、裁判で殺人罪で終身刑を言い渡されたが、２００４年１２月、
ロシアに送還された。この暗殺事件について、真相は闇に包まれたままで、ＧＲＵによる工作との
見方が流されているが、筆者はＳＶＲ工作説に傾いている。それは、実行犯が無事に救い
出されたからだ。ＳＶＲにはこのような高度な外交的裏取引をする交渉能力があるからだ。
ＳＶＲにも弱点がある。それは、ロシアの国内情勢、特に経済官庁の動向に疎いことだ。ロシアの
首相は、基本的に経済官庁を統括する。フラトコフはもともとソ連対外経済関係省出身の経済
専門家だ。首相をつとめた経験から、経済官庁の現状に通暁している。国防省、ＳＶＲ、ＦＳＢなどの
「力の省庁」は、形式的に首相府（政府）の傘下にあるが、実質的には大統領直轄機関である。
裏返して言うならば、大統領や大統領府は、政府を経由してしか経済情報を得ることができない。
旧ソ連の場合、国家の中枢機能を果たしていた共産党中央委員会には経済関係の部局もあったので、
政府を直接指揮することができたが、現在のロシア大統領府にはそれができないのである。
現在、プーチンは、「２０年王朝」を構築する戦略を秘めていると筆者は見ている。プーチンは、
憲法で同一人物の大統領連続３選が禁止されている規定を順守し、来年３月の大統領選挙には
立候補しない。そこで、政治的カリスマ性をもたない官僚型の人物を後任大統領に据える。
現時点でプーチンは誰を後任大統領候補にするか決めていない。さまざまな観測気球を
あげているに過ぎない。いずれにせよ、２０１２年の大統領選挙には再びプーチンが出てくる。
そこで、当選したプーチンは、２０１４年のソチ冬季オリンピック大会の開会式でテープカットを行う。
２０１６年の大統領選挙で再選され２０２０年まで、最高権力の座に座る。プーチンは２０００年に
大統領の座に就いたのであるから、実質的な「２０年王朝」の構築を考えているのである。
しかし、ロシアに中国のような「人による支配」の政治文化はない。いかに当初、官僚型で
カリスマ性がない人物と思われていても、ポストが人を作るという要素を軽視できない。
そもそもエリツィン前大統領は、官僚型人物であるという見立てでプーチンを後継大統領に据え、
エリツィンによる院政を敷こうとした。しかし、プーチンは、２年足らずの間に強力な権力基盤を
確立した。このことから学んだプーチンは、腹心のフラトコフをＳＶＲ長官に送り込むことで、
次期大統領が独自の権力基盤を構築しようとしても、その動向を事前に察知し、解体できる
インテリジェンス・ネットワークの構築を意図していると筆者は見ている。
http://www.business-i.jp/news/sato-page/rasputin/200710170005o.nwc
６日、プーチン露大統領は、フラトコフ前首相を対外情報庁（ＳＶＲ）長官に任命した。この小さな
人事を読み解くとプーチンの野望が浮かび上がってくる。まさに「神は細部に宿りたまう」のだ。
ＳＶＲは、旧ソ連国家保安委員会（ＫＧＢ）第一総局（ＰＧＵ）の後継インテリジェンス機関である。
ロシア国外の諜報（ちょうほう）活動については、基本的にＳＶＲが行う。「基本的に」という留保を
つけたのは、軍事諜報に関しては参謀本部軍諜報総局（ＧＲＵ）が国外でも情報収集や工作
活動を行い、一部の独立国家共同体（ＣＩＳ）諸国では、ロシア国内の防諜を担当する連邦保安庁
（ＦＳＢ）が活動しているからだ。例えば、チェチェンに関して、グルジアとの国境地帯のパンキシ
渓谷に、反ロシア派チェチェン系武装集団の訓練基地が置かれている関係で、ＦＳＢがグルジア
国内でも情報収集や工作活動を行っていることは、公然の秘密だ。
ＳＶＲは、情報収集や調査、分析だけでなく、各国の要人に働きかけて、ロシアに有利な状況を
作り出す工作活動にも従事している。もっともそのような、自国国益を増進する工作活動には、
米中央情報局（ＣＩＡ）や英秘密情報部（ＳＩＳ、いわゆるＭＩ６）も従事しているが、ロシアは、情報
操作工作にたけている。また、公式には、暗殺工作には従事していないとＳＶＲは言っているが、
ＳＶＲ関係者を含め、そのことを信じる人はいないであろう。
例えば、２００３年２月１３日、カタールの首都ドーハで車に仕掛けられた爆弾でヤンダルビエフ
元「チェチェン・イチケリア」（独立派）共和国大統領が殺害された。事件に関与したとしてカタール
当局に拘束されたロシア人２人は、裁判で殺人罪で終身刑を言い渡されたが、２００４年１２月、
ロシアに送還された。この暗殺事件について、真相は闇に包まれたままで、ＧＲＵによる工作との
見方が流されているが、筆者はＳＶＲ工作説に傾いている。それは、実行犯が無事に救い
出されたからだ。ＳＶＲにはこのような高度な外交的裏取引をする交渉能力があるからだ。
ＳＶＲにも弱点がある。それは、ロシアの国内情勢、特に経済官庁の動向に疎いことだ。ロシアの
首相は、基本的に経済官庁を統括する。フラトコフはもともとソ連対外経済関係省出身の経済
専門家だ。首相をつとめた経験から、経済官庁の現状に通暁している。国防省、ＳＶＲ、ＦＳＢなどの
「力の省庁」は、形式的に首相府（政府）の傘下にあるが、実質的には大統領直轄機関である。
裏返して言うならば、大統領や大統領府は、政府を経由してしか経済情報を得ることができない。
旧ソ連の場合、国家の中枢機能を果たしていた共産党中央委員会には経済関係の部局もあったので、
政府を直接指揮することができたが、現在のロシア大統領府にはそれができないのである。
現在、プーチンは、「２０年王朝」を構築する戦略を秘めていると筆者は見ている。プーチンは、
憲法で同一人物の大統領連続３選が禁止されている規定を順守し、来年３月の大統領選挙には
立候補しない。そこで、政治的カリスマ性をもたない官僚型の人物を後任大統領に据える。
現時点でプーチンは誰を後任大統領候補にするか決めていない。さまざまな観測気球を
あげているに過ぎない。いずれにせよ、２０１２年の大統領選挙には再びプーチンが出てくる。
そこで、当選したプーチンは、２０１４年のソチ冬季オリンピック大会の開会式でテープカットを行う。
２０１６年の大統領選挙で再選され２０２０年まで、最高権力の座に座る。プーチンは２０００年に
大統領の座に就いたのであるから、実質的な「２０年王朝」の構築を考えているのである。
しかし、ロシアに中国のような「人による支配」の政治文化はない。いかに当初、官僚型で
カリスマ性がない人物と思われていても、ポストが人を作るという要素を軽視できない。
そもそもエリツィン前大統領は、官僚型人物であるという見立てでプーチンを後継大統領に据え、
エリツィンによる院政を敷こうとした。しかし、プーチンは、２年足らずの間に強力な権力基盤を
確立した。このことから学んだプーチンは、腹心のフラトコフをＳＶＲ長官に送り込むことで、
次期大統領が独自の権力基盤を構築しようとしても、その動向を事前に察知し、解体できる
インテリジェンス・ネットワークの構築を意図していると筆者は見ている。
http://www.business-i.jp/news/sato-page/rasputin/200710170005o.nwc
|
|
|
2 ：七つの海の名無しさん：2007/10/17(水) 12:58:50 ID:sDa7ZZQ6
おまりら佐藤に歯向かう気か？うん？
3 ：七つの海の名無しさん：2007/10/17(水) 13:19:47 ID:IP3WwFox
その治安機関同士が殴り合い始めちゃったんですが…
4 ：七つの海の名無しさん：