ニセ寄付 いたちごっこ 税金(2)
なんとか税金を払わないで済む方法はないか。そう考える人はどこにでもいるらしい。(中略)
フィリピンでは古着輸入をめぐる関税逃れが横行している。(中略)
ジーンズ、ジャケット、ブラウス、Tシャツ。大きな段ボール箱から次々に取り出された衣類が
ハンガーにかけられ店頭に並ぶ。よれた古着もあれば値札がついた新品もある。ルソン島北部の
避暑地バギオ市。ここに国内最大の古着屋街がある。市内だけで1300店以上あるという。
90年代初めにバギオで始まった古着屋は瞬く間に全国に広がった。20ペソ(約54円)程度の
セール品から、ブランドもののジーンズでも500ペソ(約1350円)ほど。古着ファッションではなく、
家計を助けるため主婦たちが通う。
ところが、この古着屋に「密輸品を売買する地下ビジネス」との批判がある。フィリピンでは古着の
輸入そのものが法律で原則的に禁じられているからだ。
比産業連合会のアランザ会長によると、古着の輸入が許されるのは、ゾウキンや穀物などを入れる袋、
繊維に加工する場合のみ。古着の卸業者はこれを利用し「加工用」名目で輸入。一部は実際に
加工するが、大部分を古着屋に流す。
「実際よりずっと少ない輸入量を申請するのが常套手段。だから古着屋に流れる品は課税を免れ、
記録にも残らない」とアランザ会長。06年にスービックの工業団地で摘発された業者は、輸入量を
35トンと申請していたが、実際には425トンを保管していたという。
古着輸入は60年代に禁止された。衛生上の問題と、国の尊厳を損なうという理由だ。だが、慈善
団体への寄付は許され、90年代に始まった古着屋ビジネスもNGOへの寄付名目で非課税の
古着を持ち込むのが主流だった。90年代末には寄付を含めて全面的に禁じられ、かわって
出てきたのが加工名目などの輸入だ。
古着屋の流行で「大打撃を被った」とする繊維業界は、古着輸入の違法性と同時に税収損失を
訴える。古着屋のうち、輸入に携わる卸業者が関税を逃れているだけでなく、末端の古着小売り
業者の多くが国の歳入局に登録せず、12%の付加価値税を支払っていないと指摘する。「我々が
価格競争に勝てるわけがない」。あおりを受けて、国内の繊維業者数は90年の1万2770社から
05年には2871社へと激減した。
一方で、小売り業者がバギオ市など地方政府の正式な事業許可は得ていることが、問題を
より複雑にする。事業所税は地方にとって大切な財源。親族が大手古着屋を経営するバギオ市議は
「小売り業者はきちんと事業所税を納めており、販売そのものに違法性はない」と主張する。
販売用の古着は輸入禁止であることを認めつつも、「それは卸業者と税関当局の問題。失業者が
古着屋で生計を立て、市の税収にも雇用創出にもなる。実態に合わない古着の輸入禁止措置こそ
変えるべきだ」。
古着ビジネスは、庶民生活に浸透した巨大な地下経済になった。アランザ会長は「政府も地方も
うかつに手を出せなくなってしまった」と指摘する。
(マニラ=木村文)2007年10月16日
http://www.asahi.com/international/weekly-asia/TKY200710160077.html 【フィリピン-日本】 自由貿易協定、「日本の受け入れ条件が厳しい」と看護婦が抗議デモ [071005]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1191591524/ 【フィリピン】アロヨ大統領の支持率が再び低下、マイナス11ポイント[09/27]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1190902830/