◇巨大なバグダッド大使館 いまだ完成せず米議会が批判
【ワシントン=有元隆志】イラクの首都バグダッドに建設中の米大使館の開設が
遅れていることについて、国務省が米議会から厳しく追及されている。
新しい大使館は、ローマのバチカン市国(44万平方メートル)や
東京ディズニーランド(48万平方メートル)とほぼ同じ規模で、9月末までに
完成する予定だったが、工事が遅れに遅れ、いつ業務を開始できるか
メドがたっていない状態だ。
新大使館は、バグダッド市内のチグリス川沿いの米軍管制区域(グリーンゾーン)内にあり、
敷地面積は42万平方メートル。現在、約1000人の米政府職員は、仮設の建物などでの
勤務や生活を強いられ、安全対策上も、早期の大使館完成を望む声が高まっている。
ところが、クウェートの建設会社が進める工事は、予定の9月末になっても完了せず、
マコーマック国務省報道官も9日の記者会見で、「いつ開設できるか言えない」と言うばかり。
工事の遅れに伴って、工事費は当初予定の約6億ドル(700億円)を上回り、
7億5000万ドル(877億円)近くに達すると見込まれている。
こうした状況に、下院監査・政府改革委員のワックスマン委員長(民主党)はこのほど、
ライス国務長官にあてた書簡で、新大使館の防火設備の欠陥とともに、受注のための
買収疑惑もあると指摘した。イラクで米大使館の警備などを請け負う米民間警備会社
「ブラックウォーター社」への監督のあり方をめぐり、国務省批判が上がっている
最中でもあり、同委員長は「国務省のイラクでの取り組みは、混乱しているのは明白だ」と
厳しく批判した。
この書簡に対し、マコーマック報道官は「とんでもない」と反論。多少の工事の遅れは
容認する姿勢は示したが、同時に「いつまでも(完成を)待てるわけではない」とも語り、
苛立ちを隠しきれない様子だ。
ソース(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/world/mideast/071010/mds0710101918001-n1.htm