一方で中国は、タイへの亡命者らで組織するビルマ連邦国民連合政府(National Council of the Union of Burma、NCGUB)など、 民主化活動団体とも非公式な接触を続けていると、NCGUBの関係者は打ち明ける。 中国の狙いは、国境を越えた麻薬取引などの犯罪に関する情報を得ることにあり、場合によってはNCGUBの関係者が中国を訪問し、 中国の当局者と非公式会合を行うこともあるという。NCGUB広報がAFPに語ったところでは、こうした接触は以前からあり、最近になって 頻度が増えたという。ただし、それ以上の詳細は明かさなかった。
■ミャンマー民主化勢力側も現実路線
NCGUB側にとっても、目覚ましい経済成長を遂げつつある北方の大国、中国との関係維持は極めて重要であり、接触は双方が求めて いるものだとNCGUB関係者は話す。 民主化活動団体の横断組織Asia-Pacific People’s Partnership on Burmaの関係者も「中国の政策に怒りを覚えるのはもちろんだが、 中国は永遠にわが国の隣国であり、良好な関係が必要だ。今こそ中国はミャンマーの現体制か民主化かを選ぶべきだ」と語った。
■北京五輪への影響回避も目的の1つか
中国はミャンマーの反政府勢力支持を打ち出すことは避け、温家宝(Wen Jiabao)首相は29日、「全当事者」が自制の姿勢を示し、 「平和的手段」を通じて事態の安定化を図るよう求めた。 この姿勢は、他国の内政に干渉しないという中国の長年の方針に沿ったものだが、自国の人権問題などをめぐる批判をかわす 狙いもあるとみられる。中国が1989年に起きた天安門事件で、何千人ものデモ参加者を武力弾圧したのは記憶に新しい。ミャンマー政府との 関係が原因で、2008年の北京五輪に影響が出ることを防ぎたいとの思惑もあるようだ。(c)AFP/Dan Martin