2008年の大統領選挙の主要候補者たちが、代替燃料エタノールの普及をそろって
訴えている。全米初の党員大会が来年1月に開かれるアイオワ州が、同時に全米
1のトウモロコシ産地で、トウモロコシを原料としたエタノールの全米最大の生産地
でもあるからだ。
アイオワを制して、指名獲得の争いを有利に展開するために、各候補者は「緑の油」
にラブコールを送っている。
アイオワ州は米国のトウモロコシ生産の約20%を占める農業州。エタノールも昨年
の生産量は15億ガロンと全米1。現在28カ所の製油所があり、19カ所が新設中
という。
ブッシュ政権は今年1月、輸入石油依存から脱却するためガソリン消費を10年間で
20%減らし、エタノールなど代替燃料を普及させる目標を掲げた。
これを受けて、アイオワでは、今年春の種まき季節に、トウモロコシ栽培に切り替える
農家が相次ぎ、農地価格の高騰も起きている。
エタノール・ブームに沸くアイオワは、党の大統領候補指名へ向け共和、民主両党が
全米で最初に党員集会を開く州。過去、アイオワで勝利した候補は高確率で指名を
獲得してきただけに、各陣営が遊説先として最も重視する。
このため、エタノールの普及は、党派の違いに関係なく候補者が一致して熱を入れる
テーマだ。党員には農業従事者も少なくない。エタノールの製油所も欠かせぬ訪問先
となっている。
共和党候補のロムニー前マサチューセッツ州知事、ジュリアーニ前ニューヨーク市長は
もちろんのこと、民主党の候補者、オバマ上院議員も、アイオワに次ぐ産地のイリノイ州
選出とあって、普及拡大を早々と公約に掲げてきた。
同党のヒラリー・クリントン上院議員は少々事情が違う。2005年、エタノールを含めた
再生可能燃料の使用を2012年までに80億ガロンにする法案に、納税者負担が増す
という理由で反対するなど、過去の消極的な姿勢が指摘されている。
クリントン議員は後に「私はエタノール使用に反対したわけではない」と釈明、現在は、
「カギはクリーンエネルギー」と、エタノールなど代替燃料開発に向けた戦略基金創設
を公約に掲げている。
クリントン氏は、州内の最新の世論調査でエドワーズ元上院議員を抜いて先頭に
立ち、「方向転換は奏功している」と、アイオワ大学のデイビッド・レドルワスク教授
(政治学)は指摘する。
一方で、米国のエタノール熱は穀物価格高騰をもたらし、世界中の食糧価格上昇に
波及。また、生産過程で多くの石油エネルギーが投入されるため温暖化防止効果
にも疑問符がつけられている。
しかし、負の効果をアイオワで口にする候補者はいない。「穀物価格の高騰も農家の
所得増をもたらし、アイオワ経済にはいいこと」(レドルワスク教授)だからだ。
ニュースソース 産経新聞
http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070917/usa070917007.htm 関連スレ
【米国】おいしいエサ、近くなら安いよ エタノール工場のトウモロコシかす[09/07]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1189119244/l50