ポルトガル南部のリゾートホテルで5月、英国人女児マデリン・マッカーンちゃん
(4)が行方不明になった事件は、発覚から4カ月が過ぎ、当初「悲劇の主人公」
とされた両親が一転、「容疑者」として事情聴取されるという「衝撃的な展開」
(英メディア)を見せている。英国民の関心は高く、報道は過熱気味だ。
マデリンちゃんは生存していないとみているポルトガル捜査当局は11日、捜査
資料を裁判所に提出。裁判官は約1000ページの報告書を基に立件の可否や
追加捜査の必要性などを検討し、今月下旬までに何らかの判断を示すと
みられる。
▽主犯格
母親のケイトさん(39)と父親のジェリーさん(39)はともに医師。2人は、事件に
関与した疑いで7日、警察当局の事情聴取を受けた。当局は2人を「容疑者」と
して扱うとしたが、身柄は拘束せず、2人は無実を訴え、9日、自宅のある英中部
レスター州に戻った。
警察当局は具体的な容疑内容を明らかにしていないが、“主犯”とされるケイトさん
は「マデリンを(ホテルの部屋で)偶然死亡させたということで自供を迫られた」
と語った。
各紙は捜査関係筋などの話として「ケイトさんが鎮静剤を飲ませすぎた」「マデリン
ちゃんは虐待を受けていた可能性がある」などと報道。一家が滞在したポルトガル
南部アルガルベ地方のホテルの部屋や、両親が借りたレンタカーから、マデリン
ちゃんの「血液反応が出た」、またトランク内から「多量の」頭髪が見つかったとの
情報も流れた。
▽多額の報償金
事件発覚直後、捜査は小児性愛者による誘拐の線で進行。ホテル近くに住む
英国人の男も容疑者として聴取されたが、証拠不十分で釈放された。
マデリンちゃん失跡は、米国のジョンベネちゃん殺害事件をほうふつとさせ、
英ヴァージン・グループのブランソン会長ら著名人が多額の報償金を申し出る
など、英国では支援の輪が拡大。
12日までに100万ポンド(約2億3000万円)以上の寄付金が集まったが、
事情聴取を受け、両親は「弁護士代などの経費には充てない」と表明した。
殺人、傷害致死、死体遺棄…。捜査当局者の口は固く、どの犯罪に当たるのか、
立件に十分な証拠があるのかも不明。英大衆紙サンによると、マデリンちゃんは
海に捨てられた可能性があり、地元警察は遺体発見を絶望視している。
メディア各社は再聴取を含む「次の展開」に備え、マッカーン夫妻の自宅周囲に、
ほぼ24時間態勢で張り付いている。
ニュースソース 産経新聞-共同
http://www.sankei.co.jp/kokusai/europe/070915/erp070915004.htm