イラク政府は、ブッシュ米大統領が駐留米軍の増派分の段階的削減の方針を
示したことについて、イラク情勢に当面、大きな影響を与えることはないと
受け止めている。
大統領は同時に「駐留継続」の原則を堅持したが、イラク側が懸念するのは、
ブッシュ政権後に「急激な撤退や削減」が打ち出されることだ。
「その時」に備え、イラクが十分な自前の治安能力を確立できるのか、将来的
なイラクの安定の大きなカギを握る。
イラク政府はすでに、イラク駐留多国籍軍のペトレイアス司令官が今月10日、
米議会公聴会で同様の方針を勧告した際、「急激な撤退は誰の利益にもならない
が、(増派分の)段階的撤収が問題だとは思わない」(ダバハ政府報道官)と
反対しない方針を示していた。
さらに、イラクのルバイエ国家安全保障担当補佐官は11日、「2008年半ば
をめどに治安部隊の組織化、訓練、展開などを完了できる」と強気な見通しを
示し、自国部隊だけによる治安能力の確立に自信を示した。
ただ、イラク治安部隊の育成の遅れを指摘する声は多く、来年夏までに治安部隊
が十分な能力を発揮できるようになるとの見方は多くない。さらに、本格的内戦
の引き金ともなりかねない宗派・民族の対立構造も変化していないのが実情だ。
一方、ブッシュ政権が「アンバルの成功」として増派作戦の成果の目玉として
いるイラク西部アンバル県ラマディで13日、米軍と協力関係にあった
イスラム教スンニ派の有力部族長、アブドルサッタール・アブリーシャ氏が
路肩爆弾で暗殺された。
反米武装勢力側に立って米軍と戦っていた同氏は昨年、アルカーイダ系過激派
組織が父親と兄弟を殺したことを契機に反アルカーイダに転じた人物。
スンニ派部族を糾合し、過激派追放を目指す「アンバル救済委員会」を組織し、
反米武装勢力とイスラム過激派が混然一体となっていたアンバル県に大きな変化
をもたらした。
過激派か反米勢力の仕業とみられ、地元穏健勢力にとっては打撃だが、住民の間
では同氏殺害への怒りは強く、自発的なうねりとなったアンバル県での
「反アルカーイダ」の流れは当面、大きな影響を受けることはないと
みられている。
ニュースソース:産経新聞
http://www.sankei.co.jp/kokusai/middleeast/070914/mda070914002.htm 関連スレ
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http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1189816159/l50