9.11米同時多発テロから6年目を迎えるのを前に、テロリズム専門家や武装勢力筋
は、ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者率いる国際テロ組織
「アルカイダ(Al-Qaeda)」のネットワークが、パキスタン国内の部族地域に
新たな拠点を築いているとの見解を示した。
■タリバン政権崩壊とともにパキスタンへ
2001年、タリバン(Taliban)政権下のアフガニスタンに米軍が進攻した際、攻撃
を逃れたアルカイダ戦闘員が真っ先に向かったのは、アフガニスタン国境に近い
パキスタンの山岳地帯だった。
同地域には、保守的なパシュトゥン人が暮らしている。
前週には、ビンラディン容疑者のビデオ映像が公開され、明らかに活力を取り戻し
た様子の同容疑者は、その生存を証明しただけでなく、挑戦的な様子で米国の
「弱さ」を嘲笑した。
武装勢力筋は、ビンラディン容疑者の居場所は依然として不明であるものの、
同容疑者の息子で後継者とみられるHamza氏が最近パキスタンの部族地域に
到着したと語っている。
■パキスタンが国際テロの拠点に
パキスタンは、前週未然に発覚したドイツの空港爆破計画や、2005年7月7日に52人
の死者を出したロンドン同時爆破テロなどの国際的テロリズムとのつながりを
幾度となく指摘されてきた。
だが、米国の主要な同盟国であるパキスタンのペルベズ・ムシャラフ(Pervez
Musharraf)大統領は政治的混迷に直面しており、同国内で活動するアルカイダ
などに対するパキスタン政府の対処能力を疑問視する声が上がっている。
シンガポールの防衛戦略研究所(Institute of Defence and Strategic Studies)
に所属するテロリズム専門家で、『Inside Al-Qaeda』の著者でもあるRohan
Gunaratna氏はAFPに対し「パキスタンの部族地域はアルカイダ主導のテロ組織
の国際的な拠点になっている。欧米諸国に対する攻撃に向けた訓練や計画、
準備を行うための重要な場所になっている」と語る。
一方、9.11米同時多発テロ以前にビンラディン容疑者の訓練キャンプに参加し、
現在も同容疑者の関連組織とのつながりを持つある戦闘員はAFPに対し
「われわれはこの戦いで勝利を収める」と語った。
■ビンラディン容疑者、依然として行方不明
同武装兵はさらに、「Sheikh(ビンラディン容疑者の仮名)の息子、Hamza氏は
ここにいて、仲間に囲まれている。ビンラディン氏がどこにいるかは誰も
知らない。2年半前には(アフガニスタン東部の州)クナル(Kunar)にいたが、
現在の居場所は分からない」と述べている。
米政府は、ビンラディン容疑者の身柄確保を依然として優先課題に据えており、
同容疑者には5000万ドル(約56億円)の懸賞金がかけられている。
だが、ビデオ映像を除いては、2001年後半にアフガニスタンとパキスタンの国境
付近のトラボラ(Tora Bora)山岳地帯で戦闘中に目撃されたのを最後に、
ビンラディン容疑者の確かな目撃証言は途絶えている。
ニュースソース:AFP
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2280519/2121743