米国が行方を追う同時多発テロの首謀者、国際テロ組織アルカイダの最高指導者
オサマ・ビンラディン容疑者の動向で、アフガニスタン東部トラボラ周辺で
2001年、米軍が主導したアルカイダ掃討作戦で負傷したアルカイダ戦闘員
の治療に当たっていたイエメン人医師が同地でビンラディン容疑者と接触、
潜伏を確認していた事実が新たに判明した。
AP通信が7日報じた。
バタリフィ医師で、トラボラの戦闘で逮捕され、テロ容疑者を拘束するキューバ
のグアンタナモ基地に搬送されていた。ビンラディン容疑者との接触の事実は、
軍事法廷の審理で明らかになった。
AP通信は情報公開法に基づき、審理の供述書などを入手した。
トラボラの戦闘はアルカイダ掃討、ビンラディン容疑者捕そくを狙ったもので、
洞くつなどを徹底捜索していた。ビンラディン容疑者が同地周辺にいたとの
アルカイダ側からの新証言が明るみに出たのは異例としている。
同医師は自らがテロリストであることを否定、治療は無理強いされたと主張して
いる。トラボラへの米軍のB52爆撃機の空爆が激化するに伴い、身の危険を
覚えたバタリフィ医師は退避ルートを教えてもらうためにアルカイダ司令官
との面会を要請。
約2週間後、望みがかなえられ、ある会合に呼び出され、ビンラディン容疑者と
約10分間、対面したという。
同容疑者とは以前、アフガンの首都カブールで会っており、顔は知っていた。
ビンラディン容疑者はトラボラに着いて、2日ほどたっていたという。
同医師によると、潜伏先への米軍、アフガン軍の進攻で、同容疑者は新たな逃亡
は出来ないと観念した様子も見せていた。しかし、トラボラでの最後の掃討は
アフガン軍が担当し、結局、ビンラディン容疑者の捕獲はなかった。
ブッシュ米政権は当時、ビンラディン容疑者捕そくの千載一遇の機会を失ったと
批判を浴びたが、政権高官は実際に潜伏していたのかは不明だったと釈明して
いる。
同容疑者の現在の潜伏先は不明だが、アフガン、パキスタン国境付近との見方が
強い。
バタリフィ医師によると、同容疑者は樹木の背後にある洞くつ内に隠れていたと
みられる。容疑者は米軍の追跡を逃れるため、会合時間は最大で45分間に制限
していたという。
医師はアルカイダ側の戦闘員不足や武器の不備などに直面するトラボラでの窮状
をビンラディン容疑者に訴え、全員の退避を促した。同容疑者は戦闘地域に来た
ことがあるが、自らの逃げ場所も知らないと返答したという。
しかし、翌日にはトラボラから逃亡していた。バタリフィ医師は、「自分の安全
しか考慮しない人物だった」とも述べている。
ニュースソース:CNN
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200709080007.html