クルド人自治区に逃れるイラク国内避難民、ぎりぎりの生活に旧体制を懐かしむ声も
旧フセイン政権下で弾圧されてきたイラク北部のクルド人自治区に、イラク各地から宗派間
抗争で家を追われた国内避難民が助けを求めて殺到している。
自治区の担当者によると、山岳部の都市の街スレイマニヤ(Sulaimaniyah)には、過去1年半に
3672家族、約1万8500人が避難してきた。そのうち70%がスンニ派アラブ人で、高学歴の人々も
少なくない。
30年間住み慣れたバグダッド南部の家を捨て、家族と避難してきた59歳の男性は、「シーア派
武装組織が車4台で来て、24時間以内に立ち退かなければ殺す、と言われた。スレイマニヤを
避難先に選んだのは、イラクで最も安全な場所だと思ったからだ」と話した。男性の一族には
スンニ派、シーア派の両方がいて、今やクルド人自治区以外ではどこでも襲撃の対象と
なり得るという。
自治区側は快く避難民を受け入れており、赤新月社やクルド人人道支援機関などがテントや
水、食料、寝具、衣服などを支給している。だが、避難民らの生活はぎりぎりだ。
多くは幹線道路脇の荒れ地に設営したテントや掘っ立て小屋にすし詰め状態で、わずかな
援助物資にすがって生活している。子どもたちはぼろぼろの服を着てはだしで駆け回り、
泥の中で遊ぶ。助産師がいないため、ある妊婦は自力で子どもを産んだ。
子ども9人に物ごいをさせているという元農民の男性は、「(シーア派中心の)政府は盛んに
『和解』と口にするが、和解とは何を指すのか。家を失ったわれわれに対しては、何も
してくれない。シリアやヨルダンの避難民ばかり取り上げ、国内避難民には見向きもしない」と
憤慨する。男性の故郷、バグダッド北部ディヤラ州(Diyala)は激しい戦闘で、ほとんどの農民が
家畜や家を残して土地を去った。
援助物資は、毎月発行される証明書に基づいて配給されるが、証明書を持っていても受け
取れるはずの物資が回ってこないこともある。すっかり日焼けした女性は、「子どもたちに
着せてやる服がない。食事は、そのときあるものを料理する。米が手に入ることもあるが、
野菜はない。何もかもが不足している。とにかく援助を待ち望んでいる」と話した。
イラク戦争終結から4年、避難民たちにとって旧体制は「よき日々」として回顧されるまでに
なっている。
(c)AFP/by Jennie Matthew 2007年08月27日 18:41
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2272946/2044258 【イラク】マリキ首相、シリアを就任後初訪問 国境警備への対応や難民問題について協議[08/20]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1187627512/ 【国連】世界の難民は約1000万人、5年ぶり増加 イラクから120万人 [6/19]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1182249559/ 【イラク】「国内避難民キャンプ」発生 200万人規模と [06/16]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1182006870/