カイロ中心部の地図
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mitearuki/news/images/20070813dd1dd7phj003000p_size5.jpg 深夜のカイロ中心部。ゆったりと流れるナイル川沿いの歩道は、宵っ張りのカイロっ子たちで
あふれる。観光客を乗せて停泊中のクルーズ船のネオンがまぶしい。
川のほとりに建つホテル「ナイル・ヒルトン」。客を乗せたタクシーは鉄柵のゲート前で止められ、
警官とおぼしき男性に綱を引かれた犬が、周囲をかいで歩く。正面玄関を入ると、空港に
あるような金属探知ゲートをくぐらねばならない。
「4カ所の出入り口に同様のゲートがあります」とシャフィク副支配人(49)。ゲート前の犬は
爆発物や麻薬をかぎつけることができ、「政府から月1万2000ドル(約144万円)で
借りています。私の給料よりずっと高い」と笑う。
エジプトでは04年にタバ、05年にシャルムエルシェイク、06年にダハブと、リゾート地で
爆破テロ事件が続発。セキュリティー強化は、こうしたテロを受けた措置だという。
ピラミッドに代表される歴史遺産など、豊かな観光資源を誇るエジプト。ガラーナ観光相によると、
観光業はGDP(国内総生産)の11・3%、就業人口の12%を占め、国の基幹産業だ。06年の
観光客数は約910万人。05年からの6年計画で、11年に1400万人にまで増やすのが
目標という。中東・北アフリカのハブ空港を目指したカイロ空港の拡張工事など、インフラ
整備も進む。
観光振興の成否を握る一つが治安だ。ガラーナ観光相も「ホテルや空港を見てもらえば
分かるように、最高レベルのセキュリティーを保っている」という。一方、警官が街中に
あふれるような厳重な治安態勢は、観光客に「今そこにある危険」を連想させ、「大きな
ジレンマ」(ガラーナ観光相)でもある。
やっかいなのは、テロが毎日のように頻発するイラクなどと、「中東は危険」とひとくくりに
見られがちなことだ。シャフィク副支配人によると、ホテルの厨房(ちゅうぼう)から料理中の
煙が漏れただけで、欧米系テレビが「ヒルトン・ホテルで爆弾か?」と一報を流したことも
あった。メディア対策の意味も込め、政府は04年、危機管理センターを設置。有事の際は
いち早く適切な情報を流すシステムを構築した。
観光相や副支配人は「偏見を作り出すのはメディア」と言いたいのだろう。海外から訪れた
メディア関係者の一人として、複雑な気持ちになった。
●ひとこと
日本からカイロへは成田、関西両空港からエジプト航空の直行便が計週5便運航している。
日本人観光客は06年で約8万8000人で、ようやく01年米同時多発テロ前の水準に戻った。
毎日新聞 2007年8月13日 東京夕刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mitearuki/#48b8130f30e5bf63c55b1f353327a20b 【エジプト】25年以上続く非常事態令、来年6月までに解除する方針[08/05]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1186292328/