フジモリ氏:ペルーに身柄引き渡し「不可」 チリ最高裁
チリ最高裁は11日、同国滞在中のアルベルト・フジモリ元ペルー大統領(68)について、
ペルー政府による身柄引き渡し請求を退ける判決を下した。ペルーは同氏が大統領時代、
汚職や人権侵害事件にかかわったとしてチリに引き渡しを請求していたが、最高裁は同氏の
関与は証明できないとした。ペルー側は判決を不服として異議申し立てを行うとみられる。
判決が確定するまで同氏のチリ出国は認められない。
日系2世でペルーと日本の両国籍を持つフジモリ氏は、12日公示の日本の参院選で、
国民新党の比例代表からの立候補を表明している。
ペルー政府はフジモリ氏の身柄引き渡し請求の理由として、軍特殊部隊による市民虐殺や
強制的失踪の人権侵害、公金不正流用など13事案を挙げていた。中立的な立場のチリ
最高裁検事は今年6月、「12事案で引き渡し可能」と勧告したが、最高裁の判断はまったく
逆になった。
90年にペルー大統領に就任したフジモリ氏は00年11月、日本滞在中に失脚。その後
日本国籍が確認され、滞在を続けた。ペルーは日本に同氏の身柄を求めたが、両国間に
引き渡し条約はなく、日本政府に事実上拒否された。
フジモリ氏は05年11月、翌年のペルー大統領選立候補を目指し東京からチリに渡航。
しかしチリで拘束され、身柄引き渡し審理を受けていた。今年6月から自宅軟禁になっている。
同月に国民新党の要請を受け、参院選比例代表からの立候補を表明した。
チリ滞在が長期化の可能性も
チリ最高裁は11日、フジモリ元ペルー大統領のペルーへの身柄引き渡しを認めない判決を
下したが、ペルー政府の異議申し立てによって確定判決は9月以降、長引けば来年になるとの
見方もある。ペルー側は新たな事案で身柄引き渡しを追加請求するとみられ、同氏のチリ
滞在が長期化する可能性もある。
ペルー政界への復帰を目指し、05年11月に東京からチリに渡ったフジモリ氏は一貫して
無実を主張。身柄引き渡し裁判での勝利に自信を示してきた。参院選立候補表明後も
「法的に何の障害もなく日本に戻る」と話していた。チリの裁判所は法律に厳格で政治的な
影響を受けないと評価されており、同氏側はペルーが提出した証拠では引き渡しは不可能と
みていた。
しかし、今後の異議申し立て審理でフジモリ氏が「引き渡し不可」の確定判決を勝ち取っても、
ペルー側は刑務所囚人虐殺事件など別の理由で身柄引き渡し請求を続けるとみられる。
同氏がペルーや日本に「自由の身」として戻れる時期は、今のところ不透明だ。
フジモリ氏を参院選に擁立した国民新党は麻生太郎外相に、同氏の日本への渡航を
チリ政府に働きかけるよう求めたが、外相は「チリの司法手続きを見守る」として拒否。
チリ最高裁もフジモリ氏の参院選立候補は考慮していない。チリ政府も静観の構えで、
司法決着がつくまで同氏はチリに滞在することになる。
ペルーでは、フジモリ氏が日本の参院選に立候補表明したことから、同氏のペルーでの
政治生命は終わったとの見方も広がっている。同氏は将来のペルー政界復帰も示唆し、
支持者に「必ずペルーに戻る」と断言しているが、参院選立候補の是非については支持者の
間でも意見の相違がみられる。
毎日新聞 2007年7月12日 1時08分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20070712k0000m030161000c.html 【ペルー】ガルシア大統領「引き渡しの障害にならず」=フジモリ氏の参院選出馬で [6/29]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1183082831/ 【ペルー】政府、フジモリ氏の参院選出馬は「引き渡し逃れ策略」 [6/28]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1183037219/ 【ペルー/国内】フジモリ氏、日本の参院選に出馬検討 [06/20]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1182312193/