イラク帰還兵:精神医療を抜本的に改善 米国防総省
イラクからの帰還兵の多くが心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神的障害を
抱えている問題で、米国防総省は陸軍病院などでの精神医療を抜本的に改善する方針を
示した。激しい戦闘を経験した兵士の約3割がPTSDを抱えるとされるが、医療スタッフの
不足などで十分な治療を受けられない米兵が続出している。戦闘の長期化で深刻化する
「心の問題」に、開戦から4年余りを経てブッシュ政権が本腰を入れ始めた。
ゲーツ国防長官は先月末の会見で「改善しなければならない問題だ」と事態の深刻さを
認めた。ペース米統合参謀本部議長も「誰もが、どのような治療でも受けられるよう適切な
指導を行う」と現状の改善に全力で臨む姿勢を強調した。
同省が昨年実施した調査によると、派遣期間や回数が長期化するほどPTSDなどの
発症率が高く、精神面で何らかの症状を訴えたのは初めて派遣された米兵で17%、
2回目以上で27%にのぼった。同省は同年5月、内外の精神医療専門家を集めた
研究チームを設置。陸軍病院では最大の精神医療施設を持つウォルター・リード陸軍
病院などの調査を行い、資金不足で医療スタッフや施設が不足。多数の米兵が十分な
医療を受けられずにいる現状を報告した。
帰還兵の精神医療をめぐっては米紙ワシントン・ポストが医療の改善を求める帰還兵の
肉声を繰り返し伝えている。また、同紙は今年2月、同陸軍病院が入院を必要とする
患者を外来に回したり、かびや不衛生な病室を放置するなど劣悪な環境を告発。ゲーツ
国防長官は翌3月、陸軍長官を事実上、更迭した。
毎日新聞 2007年7月8日 19時53分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20070709k0000m030057000c.html