【ワシントン和田浩明】米中西部オハイオ州の連邦高裁は6日、国家安全保障局(NSA)がブッシュ大統領の
承認下で行う「裁判所の令状なし盗聴」を違憲とした1審判決を破棄し、原告側の訴えを却下した。高裁は、
原告の市民団体が盗聴対象となったと証明できず、原告適格を満たさないと判断した。テロ対策としての
令状なし盗聴の必要性と合法性を主張するブッシュ政権に、極めて有利な判決だ。
ブッシュ政権は昨年8月の1審判決敗訴を受けて今年1月、令状なし盗聴について、大統領の許可だけでなく
「外国情報監視法廷」の承認を得て行う意向を連邦議会に通告している。
今回の高裁判決は、まず原告側が令状なし盗聴の対象だと証明する必要があると指摘。そのうえで、
証明する証拠は国家機密の秘匿特権の下で被告のNSA側が保有しているため、原告側は入手できず、
提訴する資格は得られない、と述べた。
原告側は、令状なし盗聴が米憲法の禁じる違法捜査にあたるうえ、大統領権限の乱用で憲法上の
三権分立原則にも反するなどと主張していた。原告団を主導する全米市民的自由連合(ACLU)は
同日発表した声明で、連邦最高裁に上告する可能性を示した。
毎日新聞 2007年7月7日 11時58分
ソース:
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20070707k0000e030043000c.html