http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200706231311226 米国の政治的道具はもう御免━
士気低下した ファタハ兵士 ハマス・ガザ占領の真相(1)
(日刊ベリタ6月3日、ユンゲヴェルト特約)
原題:分割と支配
クニュート・メーレンティン記者
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200706231311226 ハマスの戦闘員は先週、パレスチナ自治政府のアッバス大統領支配下にある
ガザ地区偵察隊・治安部隊のすべての要塞を急襲し数日で占領した。米政府は
大いに慌てふためいた。書類上では、アッバス大統領に忠実な戦闘部隊がハマ
スのそれより頭数だけでなく、武装力においても優位に立っていたからだ。
一体何が起こったのか。ひとつは、ハマス一流の周到に計画された組織
力がファタハを圧倒した。第2に、ハマスが短期で勝利した理由は、明らか
に同大統領派のファタハの兵士らが初めからハマスとの戦闘への参加意欲に
欠け、脱走さえ試みるほど士気が低下していたためだ。ガザ地区のファタハ
の戦闘員がはっきりと告白しているように、彼らは米国、イスラエル両政府
の意のままになる、政治の道具として使われることを望まなくなったためで
ある。
数ヶ月にわたるアッバス派との戦闘を終結させ、それによってファタハ
兵士の大半を自陣営に招き入れるため、ハマスと連携するパレスチナ自治政
府の1部勢力はなぜ「今や軍事攻勢の時が来た」と決断したのであろうか。
イスラエル軍に占領されているヨルダン川西岸ではハマスはガザ地区ほど力
がなく、適時軍事力を行使することもままならない。こんな不利な条件を承
知でガザを掌中に入れた。
ガザ地区とヨルダン川西岸という2つの占領地域は差し当たり分割され
た状態となる。しかし、ハマスの支配するガザ地区住民は米国と欧州連合
(EU)による財政、経済制裁で干上がってしまう恐怖にさらされている。
ガザ地区では電気、飲料水、暖房用石油、さらに大半の食料品がイスラエル
からの輸入に依存せざるを得ない状況にある。
イスラエル政府がこれらの供給を暫定的に維持していくと通告したものの、
本当に継続するかの保証はまったくないのである。実際、イスラエルは生活
物資供給の中断を強化し始めている。さらには、この数ヶ月間議論されてい
るように、新たなイスラエルの大掛かりな攻撃がガザ地区の人々を恐怖させ
ている。
ハマスは選挙の実施を放棄し、今や誰もそれを考えていないため、一般
住民はガザ地区からの脱出を考えている。パレスチナ自治区議会のハマス党
議長代行であるジャージャ・ムサは「ダーラン派の反乱に対し機先を制する
必要があった」と語った。ダーランの反乱計画は米国とイスラエル、そして
アッバス大統領が協議して決めたものである。(ツヅク)