ロンドンでの車爆弾テロ未遂事件とグラスゴー空港での車突入炎上事件をめぐり、英国の
捜査当局は2日までに計7人の容疑者を逮捕した。英メディアによると、大半が中東
出身者とみられ、少なくとも2人は医師という。スミス内相は2日の下院への報告で「連続
テロ」と断定。ブラウン政権は「国際テロ組織アルカイダと関連のある集団」による犯行との
見方を強調した。治安対策は有権者の関心が高く、対応を間違うと政権の命取りになりかねない。
●犯人像
英捜査当局は2日、グラスゴーでの事件に関連し、1日夜、空港近くに住む20代の男2人を
新たに逮捕したと発表した。
2日付の英ガーディアン紙は、捜査当局がアルカイダと関連のある少なくとも8人の集団を
犯行グループと特定したと報じた。ブラウン首相は1日、BBCの番組で「一般的な意味で
アルカイダと関連のある人々を相手にしている」と語った。
英メディアによると、チェシャー州で逮捕された男(26)は、近くの国立病院の神経科の医師で、
ヨルダンで医師資格を取得。また、グラスゴー空港に車を突入させた2人のうち1人も
バグダッドで医師資格を取得した記録が残っている。
英情報局保安部(MI5)は昨年11月時点で約1600人の「テロ予備軍」を洗い出し、監視下に
置いていた。その数は現時点では約2千人とされ、テロ計画は30にのぼるといわれる。
ロンドン警視庁は今回のテロ未遂事件に先立ち、予告情報はなかったとしている。
首相の国際治安担当顧問のスティーブンス元警視総監は1日付の英大衆紙で「アルカイダが
バグダッドやバリで実行した戦術を英国の町中に持ち込んだ」と警告した。イラクで駐留米
英軍を標的にした、ガスボンベなどを使った殺傷力の強い車爆弾の使用や同時多発的な戦術が、
今回の事件と似ていると指摘されている。英国生まれの移民2世が実行した2年前のロンドン
同時爆破テロの手法とは明らかに違う。
今回はイラク戦争などをきっかけに過激化した中東系知識人らが、米国主導の「対テロ戦争」に
協力する英国に対し、政権交代後も攻勢を強める意思を表明したとの見方が強まっている。
●試練のブラウン政権
「警察当局は(7人の逮捕が)互いに関連していると確認した。大勢の命が失われる可能性が
あった」
スミス内相は2日、下院で一連の事件の概要を報告、連続テロだったと断定した。計19カ所で
家宅捜索を実施、捜査は急展開しているとした。
ブラウン首相は就任以前から、ブレア前政権が進めた「犯罪に強い労働党」の路線をさらに
強化する考えを打ち出してきた。2年前のテロを契機に強化された反テロ法を再び改正し、
テロ容疑者を起訴しないまま予防拘束できる期間の延長を検討している。
6月24日付のMORI社の世論調査では、犯罪と国際テロへの対策強化が、移民と医療に
次いで有権者の関心が高いという結果が出ている。
最大野党・保守党が徹底した不法移民の締め出しやテロ対策強化を主張する中、ブラウン
政権は早ければ来年秋にも行われる総選挙で勝利するため「こわもての政策」を譲るわけには
いかない。
ブラウン氏は組閣の目玉として、英国史上、初めて女性のスミス氏を内相に据え、保守党からも
支持される海軍元トップのウエスト氏を治安担当閣外相に招いた。国際治安担当顧問には
超党派の支持を受けるスティーブンス元警視総監を就け、重量級の布陣を敷いた。今回、
そのブラウン氏の出身地のグラスゴーが標的の一つとなった。
2007年07月03日00時37分
http://www.asahi.com/international/update/0702/TKY200707020300.html 【英国】テロ、新たに男2人逮捕…“カメラ監視社会”で捜査進展 [7/2]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1183383340/