バグダッド(CNN)
イランが支援しているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの幹部が今年3月、
イラク南部バスラで拘束された。米情報当局者が7月1日、CNNに語った。
拘束されたアリ・ムッサ・ダクドゥク容疑者は爆発物の専門家で、バスラではシーア派
民兵の訓練を支援し、イラク駐留多国籍軍の襲撃を指揮していた。
ダクドゥク容疑者は拘束当時、聴覚障害者を装っていたため、身元が判明するまで
数週間を要した。身元が判明した後、同容疑者は供述を始め、1月20日にイラク中部の
シーア派聖地カルバラで米兵5人が死亡した襲撃事件で、中心的役割を担っていた
疑いが浮上した。
米当局は、ダクドゥク容疑者がヒズボラの特別作戦司令官の1人で、路上爆弾の使用に
通じていたとみている。同容疑者はイラク武装勢力の幹部とともに、イラン革命防衛隊の
アルクッズ部隊と連携していたことを認めたとされる。
米軍関係者は、イラク武装勢力がクッズ隊から武器供給や訓練を受けていると主張。
米政府はイラン側にこうした武器供給の中止を求めており、イラン核問題とともに
域内情勢の火種となっている。
イラク政権で主流のシーア派会派とつながりが深いイランは、米国側の主張を度々否定
してきた。ただ、米当局は、クッズ隊がヒズボラをモデルとするシーア派「特別グループ」
創設を支援しているとの見方にある。
米軍はダクドゥク容疑者の拘束を公にしておらず、イラク政府も何も明らかにしていない。
ただ、イラク政府当局者はCNNに、同容疑者の拘束を裏付ける文書や法医学的証拠を
提示した。
米関係筋とイラク武装勢力筋によると、カルバラの米軍襲撃は、1月10日にイラク北部
アルビルで米軍に拘束されたイラン人5人の解放を求めるため、交換条件に使う人質を
取ることが本来の目的だった。しかし作戦が失敗し、米兵5人が犠牲になったという。
ヒズボラの報道官は、米国側の主張に反応することを拒否する姿勢を示した。ヒズボラ指導部
がリスクを冒してイラクに要員を派遣する理由は不明だが、米当局者は、ヒズボラがイランに
大きな借りがあるため、そうせざるを得なかったのではないかと指摘した。
CNN:
http://cnn.co.jp/world/CNN200707020004.html