ポーランドで大人気の子供向けアニメ「おやすみ、クマちゃん」。“ポーランドのドラえもん”とも
“東欧版くまのプーさん”ともいえる国民的人気キャラクターだそうだ。クマちゃんがベッドに入る前、
今日あったことを語る形式で、7分程度の短いエピソードが計10話。合わせて80分程度と短いのだが、
途中5分の休憩も入り、普通の映画と少し様子が違う。
今回の試写会は「キッズデー」と称され、映画関係者が子供を連れてきてもいい日だった。集まった
子供は10人くらいだろうか。いつもの試写室とは違うにぎやかな雰囲気。子供の反応があちこちから
聞こえてきて、一層楽しく観ることができた。
主人公のクマちゃん、普通のアニメのクマとは一味違って、意外にスリム。手足も人間のように
長めだし、お腹もそんなに出ていない。しかも、いくつかのセリフがシュールで面白い。 たとえば
第1話。木登りするよう頼まれたクマちゃんは、真面目な顔をして面白い返答をする。私には予
想外の回答で、思わず観客から笑い声があがった。
控えめに子供の道徳や情操教育の必要性を伝える一方、幼稚な子供っぽさはあまりない。また、
近ごろ進化しつづけるVFX映像を見慣れている方には、手作り感がなんともいえず懐かしく感じるの
ではないだろうか。そういう意味で、大人も楽しめる作品であり、しばらく忘れていた子供ごころを思
い出すよい機会だろう。私はテーマ曲を歌えるほど、気に入ってしまった(日本版のテーマ曲は吹き
替えで、ケロポンズが担当している)。
1話分が短いため大きな盛り上がりはなく、10話続けてみると少し飽きるかもしれない。しかし
物語うんぬんより、美術の素晴らしさを楽しみ、作品を丁寧に作る大人たちや、それに親しむ遠い
国の子供たちを想像しながら見てほしい。
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