スペイン料理界の著名なシェフ、フェラン・アドリア(Ferran Adria)氏が、ドイツ西部
カッセルで開催中の現代美術の祭典「ドクメンタ(Document)」に、料理人として
初めて招待された。
同氏はドクメンタでの記者会見で、実験的なスペイン料理を提供し、料理評論家らに
世界一と評価される自身のレストランを訪れることは「美術館を訪問するようなことだ」と
述べた。
スペインのバルセロナにあるアドリア氏のレストラン「エルブジ(El Bulli)」では、例えば
デザートとして、パルメザン・チーズのアイスクリームを用いたサンドイッチや、
泡状にしたトリュフクリームの乗ったカプチーノ、野菜のアイスキャンデーなどが
供される。
芸術展であるドクメンタに同レストランを「出展」するよう要請された同氏だが、自身の
味の秘密は20年間、エルブジのキッチンのみで調理をしてきたことだとして、これまで
さまざまな「誘い」や出張依頼をかたくなに断り続けてきた。
代わりにドクメンタ開催中、同展関係者から毎日2人をエルブジでの「美食の体験」に
招待した。アドリア氏は、「エルブジで20年間やってきて、時にあちらこちらで料理を
してくれと頼まれるが、演劇やオペラのステージのようなもので、わたしは自分の
ステージであるキッチンを離れられない」と語る。
さらに、「エルブジは美術館だ。芸術とは何かをわたしが決め、食の境界を広げようと
努力している。わたしの料理で大切なのは、料理だけではなく、わたしのレストランを
訪れるという体験すべてだ。予約を取り、その日を心待ちにする。飛行機と車を乗り
継いで小さな港町にたどり着き、30種類の料理を味わう。この過程すべてが、わたしの
作品だ」と自信に満ちた言葉を折り混ぜながら、自身のレストランへいざなった。
エルブジは4月、『レストラン』誌が選ぶ世界のトップ・レストラン・ランキングで、
ロンドン近郊ブレイにある「ザ・ファット・ダック」を抜き、1位となった。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2242268/1699441