【米】死刑による殺人抑止効果の議論が再燃・・・1件の死刑執行により3〜18人が救われると統計結果[06/11]
1 :
壱軸冠蝶φ ★:
(恐ろしく長文ですので、要約です。訳文全ては
>>2以降に貼っていきますのでどうぞ。)
現在、死刑廃止論は勢いを増している。イリノイでは一時停止、ニュージャージーでは完全
廃止といった具合にだ。
しかし最近、これまでにも熱心に討論が行われた、死刑が殺人の抑止力になるかという議題
について決着をつけるべきだとする学術研究が、ここ半年の間に相次いで発表されている。
そして、その分析では死刑は肯定されているのだ。
肯定派の統計学者らによれば、殺人者が死刑に断罪されることで、3〜18人の命が救われる
という。この研究者の中には死刑反対の立場の者もいて、結果との矛盾に悩んでいる。
リベラル派で死刑反対を訴えている著名な法学者も、道徳的な問題は別にして、死刑を行うこと
で無辜の市民が殺害されずにすむという可能性について検討してこなかったことを認めている。
ただ一方で、他のエコノミストなどからはその立ち位置からの反発も苛烈で、肯定派の統計結果
については信用に値しないものと一蹴している。
これら一連の議論は、1970年代に活発に行われた死刑制度の是非に関する論争を再現している
という意見もあり、実際当時学会から研究結果を否定された学者が、再度自分の結論について
正しかったことを主張している。
とはいえ、まだこれらの研究は調査の余地が残っており、国家規模での討論などが今後も必要と
なるだろう。
ソース:ニューヨークタイムズ(英語・・・誤訳あったらごめんなさい。)
http://www.nytimes.com/aponline/us/AP-Death-Penalty-Deterrence.html?_r=1&oref=slogin
2 :
壱軸冠蝶φ ★:2007/06/11(月) 20:29:04 ID:???
(全訳文)
死刑廃止への勢いはこの数年間ではずみがついた。イリノリ州では死刑の一時的停止
が決まり、6の州で薬物注射に関する法定論争が行われニュージャージー州では完全
な廃止という進歩に向かっている。
DNA鑑定での免罪で司法制度の欠点を指摘するという、堅実な音頭は死刑に対して不利に
働いてきた。また道徳的な反対が大声で叫ばれ、全てのヨーロッパや残りの工業化世界に
おいても反響を呼んだが、この何年間で禁止を実行したのは僅かな国に留まった。
だが小さな言及ながら、死刑が殺人の抑止力として機能するか否かに関係なく、一度熱心
に討論されたこの議題について決着をつけるべきだと主張する学術研究がここ半年の間に
出されていることに気づく。
そしてその分析では、死刑は肯定されている。
彼らは死刑によって殺人者が断罪されることで、3〜18人の命が救われると言う。
報告では、死刑の対象者と数人の科学者を戦慄させ、活発にそのデータと含まれる意味
について質問をしている。
今までのところ、その研究は公共政策に僅かな影響しか与えてはいない。
ニュージャージー州の死刑制度検討委員会も、今年「決定的なものではない」として
一連の研究結果を棄却している。
しかし、学会における激しい論争は過去もそうであったように、より多くの聴衆に広
まっていった。
「科学が真実の結論を出したことで、死刑を行うことについて全て問題が無くなって
しまいました。」とデンバーのコロラド大学経済学教授、Naci Mocan氏は語った。
「その結論は抑止効果がある、ということです。」
彼が2003年に共同執筆した研究とデーターを再検討し、2006年に発表した研究では
死刑の実行は5つの殺人を減少させ、死刑宣告を別の刑にすれば5つの殺人を作り出す
ことになることが分かったと言う。
「結果は揺ぎ無いもので、真実から遠ざかってはいないのです。」と彼は言う。
「私は死刑には反対しています。しかし私が出した結果が死刑に抑止効果のあること
を示しているんです・・・(死刑制度を思いとどまらせるには)どうすればいいので
しょうか、これらを隠せとでも?」
(続く)
3 :
壱軸冠蝶φ ★:2007/06/11(月) 20:29:34 ID:???
(
>>2の続き)
彼による統計研究では2001年以降の1ダースある書類の中で、死刑が抑止効果をもって
いることが証明されているという。
彼らは基本的に同じ理論で調査する。例えば何かのコスト(リンゴの値段でも、誰かを
殺すという行為であろうとどちらでも)が高くなりすぎれば、それに対する振る舞いを
変えるということだ。(リンゴで先に考えて、殺人者にはならないで欲しいが。)
疑問を探るために、彼ら研究者は近くの州やカウンティーにおける年間の死刑執行と
殺人罪の関係を確認している。殺人に関しては他の要素として、失業率のデーターや
一人当たりの収入、検挙確立に信念その他などを会計して死刑への影響を引き出そうと
している。
・結論の中で
Emory大学の教授によると、2003年の全国調査によれば死刑執行により平均で18の
殺人を抑止できたと結果付けた。(他の研究では1回の死刑執行で3〜5、もしくは14
の殺人を思いとどまらせたと見積もっている。)
ヒューストン大学教授による、2005年の研究によれば2000年に実行されたイリノイ州
の死刑一時停止により、4年間で150以上の追加殺人を招いたとしている。また死刑執行を
素早く行えば、より抑止効果は強くなるという。
大体2.75年という死刑囚の収監に費やされる時間、これをカットすれば1件の殺人を
防ぐことが出来るとEmory大学教授による2004年の研究では述べられている。
2005年には、1万6692件の殺人と過失致死事件が全国で発生し、60件の死刑執行が
行われている。
この研究結果は、シカゴ大学でも有名なリベラルな法教授のCass Sunstein氏にも哲学的
な反応をもたらした。
死刑の批評家である彼は、2005年に共同執筆した論文に「死刑は道徳的に必要なのか?」
という題をつけている。
(続く)
4 :
壱軸冠蝶φ ★:2007/06/11(月) 20:30:20 ID:???
(
>>3の続き)
「殺人者を処刑すれば、一般市民が被害に遭う事が防がれるとしても、それが容易に
道徳的評価を得られないことは事実です」と彼はAP通信に語っている。
「ですが死刑廃止論者などや、私のように死刑に関して懐疑的な人々は汚れない命が
死刑によって救われる可能性について適切に検討しなかったことも事実です。」
Sunstein氏は道徳的な問題は別として、さらにこの研究については多くのデーターが
必要になるだろうと言った。
調査結果について批評家らは騒々しい。
あるものは、研究は抑止力肯定派寄りであり、その方法論には深刻な誤りがあると主張
し、その結果は信用できないと言う。別の批評家は、この研究で全ての殺人罪を数に
入れるのは誤りだと唱える。むしろこういった思い込みによって死刑はもたらされるの
だと主張している。
他にも、毎年合衆国において死刑執行が僅かしか行われていないなどと単純に言うのは
間違っていると主張するものもいる。
「私達が、何か言うほどのデーターは揃っていないでしょう。」と、ウォートンビジネス
学校のエコノミスト、ジャスティン・ウォルファースは言い、昨年共同執筆された幾つか
の研究について「浅薄」で「二流雑誌」に見えるとした。
「これは右とか左とかいった話ではないんです。」「馬鹿な統計学者はそう言うのは
非常に難しいなどといいますがね。」
「支持コミュニティーや法学者の中で統計学に精通している人ならば、これらは結論が
未だ出ない問題だと言うでしょう。エコノミストの数が少ない一流大学ではバターを
塗ったパンの数の統計分析だけでも議論が終わってしまいますからね。」
抑止力肯定の報告をした数人の筆者らは、科学のために批評は歓迎すると言明している
が、彼らはその仕事に対する欠点ではなく単なる死刑反対という立場から攻撃されている
と言う。
Emory大学での研究で共著者となったエコノミストのポール・ルービンは、座り込みを
している人々は"データーが示すものを見せろ"というのではなく"これが間違っている
ことを示そうじゃないか"と座り込んでいるのです、という。
(続く)
5 :
壱軸冠蝶φ ★:2007/06/11(月) 20:30:48 ID:???
(
>>4の続き)
「何人かの科学者は、彼らが守りたいポジションの為に真実から目をそむけている
のです。」最新の議論では、現在より遥かに学会が影響力をもっていた1970年代の
討論を再演していると言える。
そして再びエコノミストのイサク・エーリッヒは死刑執行が以後の犯罪を思いとど
まらせていたという結論を下す。
1975年の彼の報告は、主流なニュース記事や立会い演説会などで演題にされ、1972年
に差し止められた死刑執行を覆すためにアメリカ最高裁判所の書類として引用された。
(法廷は1976年に死刑を復活させた。)
だが最終的に国際科学学会によって準備された委員会で、エーリッヒの結論は失敗
であったと決定されたのである
とはいえ、新たな抑止力の肯定研究はまだ多くの種類の精査を得てはいない。
少なくともまだそうされていない。
実現の為のより広い国家での議論やアカデミックな討論、死刑制度そのものの人種や
経済の不一致に関する疑問の気配が消え去る兆候は全く無い。
Steven shavell(ハーバード大学法学大学院の法経済学教授で、American Law
and Economics Reviewの共同編集主任)氏は、彼の雑誌に於いて抑止力統計研究に
関する今度の問題の、いくつかの記事を発表するつもりだとメールでの取材に答えて
くれた。
(以上です)