ES細胞法案、議会を通過 大統領は拒否権行使の構え
2007.06.08
Web posted at: 17:35 JST
- AP
ワシントン(AP) 難病治療などへの応用が期待される胚(はい)性幹細胞(ES細胞)
の研究をめぐり、米下院は7日、連邦政府からの助成に対する規制を緩和する法案を、
賛成247、反対176で可決した。法案の成立にはブッシュ米大統領の署名が必要だが、
大統領は拒否権を行使する構えを示している。
ES細胞は受精後間もない胚から取り出される細胞で、アルツハイマー病や糖尿病などの
治療に役立つとの期待が寄せられる一方、生命尊重の立場から研究に反対する声も根強い。
米政府はもともと、ES細胞研究への助成を実施していなかったが、ブッシュ大統領が01年、
それまでに採取された細胞株を利用する研究に限り、助成を認めるとの決定を下した。
しかし、これだけでは研究を進めるのに不十分とされ、既存の細胞株の劣化も目立つことから、
民主党議員らが、人工授精の過程で不要となったES細胞を使う研究を、採取時期にかかわらず
助成対象とするよう主張。法案は今年1月に下院、4月には上院を通過しており、今回下院が
再び可決したことにより、大統領の署名を待つばかりとなった。だが拒否権が発動された場合、
議会がこれを覆すのに必要な3分の2の賛成票は得られない見通しで、法案成立は事実上
不可能な状況だ。
法案審議を主導したデゲット下院議員は、「ブッシュ大統領の頑固さのせいで、救われるかも
しれない患者が今も苦しんでいる」と、大統領を非難した。一方、主要国(G8)首脳会議
(ハイリゲンダム・サミット)参加のためドイツに滞在している大統領は、「人間の胚を故意に
破壊する行為を助成することはできない。その一線を越えることは大きな間違いだ。したがって、
きょう可決された法案には拒否権を行使する」との声明を出した。議会では昨年も同様の法案が
可決されたが、ブッシュ大統領は当時、就任後初の拒否権を発動して成立を阻止した。
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200706080026.html