http://www.akashic-record.com/ ■中国の油断〜週刊アカシックレコード070521■
米国が「無謀な」イラク戦争を起こし、核兵器開発疑惑を理由にした国際的な対
イラン経済制裁を主導した結果、中東原油の生産量が落ち込み、中国が石油危機
に陥る可能性が高まった。
■中国の「油断」〜シリーズ「中朝開戦」(6)■
・・中国から見ると、2003年以降の米国の中東政策は、一貫して中国経済を苦しめる
方向に向いており、もしも米国の中東政策の目的の1つが「中国経済の成長を抑制
すること」であるならば……たとえイラク戦争後のイラク国内の治安が悪化して
いようが、イランの核問題が解決しまいが……その点に関しては、米国の中東政
策は「成功」していることになる。
・・中国が世界各国からの石油消費抑制要求を「内政干渉だ」と怒ってはねつけてい
る以上、現実の世界では「戦争をするな。環境破壊もするな。経済のバブル化も
するな」などという市民レベルの「わがまま」は実現しない。だったら、だれか
が手を汚してでも、世界の石油供給の「元栓」を絞めに行くしかないのではないか・・
●中国のアキレス腱●
たとえ「元栓」が絞まらなかったとしても、中国への石油供給ルートは元々不安定だ。
経済が「自転車操業」状態の中国では、省エネ技術の導入だけでなく、原子力発
電など代替発電技術の導入もままならないため、結局、石油、とくに最大の産油
地帯である中東からの輸入石油に頼ることになる。
・・つまり、中東から中国までの石油輸入ルートは、中国の(旧)敵国4か国のうちどれ
かが「その気」になれば、簡単に遮断できるのだ。軍事評論家の江畑謙介は「こ
れでは、中国の指導者は恐ろしくて夜もおちおち眠れまい」と嘲笑した(2005年6
月18日の、都内某所での江畑謙介の講演会。以後「江畑講演会」)。
もちろん、中国とて手をこまぬいているわけではない。アフリカのスーダン、ア
ンゴラや中央アジアのカザフスタンなど、中東以外の産油国から石油を輸入しよ
うと、海外への石油開発投資や利権確保のための「石油外交」を展開してはいる。
が、中国の石油の需要の伸びがあまりに急激なので、少なくともあと数年は、
中東原油への依存度は高止まりしたままであろう(前掲「江畑講演会」)。
●油断大敵●
中国の石油輸入を遮断すること、つまり「油断」を起こすのは簡単だ。
北朝鮮の年間石油輸入量はわずか100万トンと言われており、これは中国のそれの1/100
以下だから、中国との間に「中朝戦争」が起きた場合でも、北朝鮮は(2007年2月の
「6か国協議」の合意に基づいて米国から)戦争に必要な量の石油を比較的容易に調達する
ことができるが、戦争がなくても元々石油確保に四苦八苦している大石油消費国の
中国の場合は、戦争遂行に必要な量も含めて膨大な石油を輸入することは、自転
車操業どころか「障害物競走」のような不確実な作業になるだろう。
もし中国と北朝鮮がそれぞれ単独で、あらかじめ決められたルールに基づいて正
々堂々と国力を発揮し合って「はたし合い」をするのなら、GDP(国内総生産)も核
弾頭の保有数も圧倒的に大きい中国のほうが勝つに決まっている。
しかし「いくさ」は「はたし合い」とは違う。2010〜2011年頃に北朝鮮が中国と
戦うのは「いくさ」である。「いくさ」すなわち兵法は「詭道」(きどう)である
から、他国に頼んで敵国への石油の供給ルートを断つところから始めてよいのだ
(そうすれば、いくさが始まる前に中国国内は石油危機でパニック状態になる)。
ある意味で、中朝戦争はもう始まっている。
「タブーに挑戦」は臨時増刊なので→<
http://ameblo.jp/akashic-record/day-20070426.html >
「北朝鮮の北〜シリーズ『中朝開戦』(1)」は → <
http://www.akashic-record.com/y2007/cvsnk.html >
「脱北者のウソ〜シリーズ『中朝開戦』(2)」は → <
http://www.akashic-record.com/y2007/sklie.html >
「戦時統制権の謎〜シリーズ『中朝開戦』(3)」は → <
http://www.akashic-record.com/y2007/wtctrl.html >
「国連事務総長の謎〜シリーズ「中朝開戦」(4)」は → <
http://www.akashic-record.com/y2007/unsg.html>
「罠に落ちた中国〜シリーズ『中朝開戦』(5)」は → <
http://www.akashic-record.com/y2007/ctrap.html >