5月9日に大統領選挙の決選投票が行われる東ティモールで、高い失業率が続いている。
5世紀に及ぶ外国支配を終わらせた後も、治安悪化や物価高などで企業活動が育って
いない。不満を抱く一部の若者が放火や投石などに走り、さらに治安を悪化させる
悪循環に陥っている。独立から5周年を前に、大統領選の争点にもなっている。
首都ディリの中心部では、朝から住宅前の歩道や広場などで若者がたむろしている。
アラウジョさん(29)は、高校を卒業した96年から一度も定職に就いていない。
街頭で新聞や携帯電話のプリペイドカードを売っても、月の稼ぎは約80ドルほど。
コメや雑貨などを買うとほとんど残らない。節約のために昼食を抜いている。
5年前の独立後、警備会社や官公庁などで求人があるたびに願書を出してきたが、
面接さえ受けられなかった。「自由になったが、インドネシア時代のほうが経済的
に楽だった」という。
ディリ郊外の職業訓練所では、競争率8倍の試験を通った約50人が木材加工や電気
整備などの訓練を受ける。西部リキサ県の農家出身のソウサさん(35)は
「月30ドルほどの畑仕事では結婚もできない。なんとか就職したい」と望むが、
卒業できても働けるのは1割に満たないという。
世界銀行によると、都市部若年層の失業率は43%、農村部でも20%以上とされる。
国家公務員の数は定員オーバーで、空席には応募が殺到する。昨年5月の騒乱やその後
のコメ倉庫襲撃などでは定職を持たず、社会に不満を抱く若者で構成する武闘集団が
関与した。
インドネシア時代、スハルト政権は日用品の供給に力を入れて物価を抑えた。独立後
はインドネシアなどからの輸入に頼る形となり、物価が急上昇。労働コストも上がり、
治安悪化などの影響もあって企業が進出を敬遠した。
国内総生産(GDP)はこの数年、ほとんど伸びていない。
ただ、政府には現在、豪州との天然ガス・石油の共同開発収益による基金が約10億
ドルあるとされる。これをいかに失業対策に配分するかが、大統領選の争点の一つだ。
決選投票に臨むラモス・ホルタ首相(57)は「奨学金や職業訓練など若者の支援に」。
対するル・オロ党首(52)を擁する最大政党フレティリンの幹部は「将来のため
石油権益の収益はできるだけとっておき、道路や橋の整備に使う程度にとどめたい」
としている。
ニュースソース
http://www.asahi.com/international/update/0430/TKY200704300244.html 関連スレ
【東ティモール】コラム「日本人文民警察官の汗」 [4/23]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1177567612/l50