このあたりの駆け引き、今後とも面白そうですね。
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□南米エネルギーサミット開幕 ブラジルが反米封じ
南米12カ国がエネルギー分野での連携を2日間にわたり話し合う第
1回南米エネルギーサミット(首脳会議)が、ベネズエラのマルガリー
タ島で現地時間16日午前、始まった。同国のチャベス大統領は、反米
左派連合の結集を狙ったが、ブラジルのルラ大統領は米国と提携し進め
ているガソリン代替燃料、エタノール普及を進める考えを表明。南米最
大の経済大国が親米寄りの姿勢を鮮明にしたことで、反米左派が勢いを
増していた中南米の勢力図に影響を与えそうだ。(佐藤健二)
■南米版IMF
サミットはベネズエラが開催を提唱。エネルギー資源の共同開発や地
域内でのエネルギー安定供給などを通じた経済協力が議題となる。
経済開発に向けた南米版の国際通貨基金(IMF)創設や、ベネズエ
ラの天然ガスをコロンビアやブラジルに運ぶパイプライン建設が話し合
われている。
サミットに合わせて行われたルラ、チャベス両大統領の会談で最大の
関心を集めたのが、ブラジルが推進し、ベネズエラが反対の立場を取る
エタノールの増産問題だ。
ルラ大統領は今年、米ブッシュ大統領と2度にわたり会談。エタノー
ル開発の技術開発や生産、普及で協力する戦略提携に合意した。
両国は合わせて世界生産の7割を占める2大エタノール大国。一方の
ベネズエラは自らも補助的にエタノールを生産しているが、南米で唯
一、石油輸出国機構(OPEC)に加盟する石油と天然ガスの大資源国だ。
チャベス大統領は過大なエタノール生産への傾斜は、原料のトウモロ
コシやサトウキビの需要逼迫(ひっぱく)を通して食料価格を押し上げ
る「虐殺的行為」と米国を攻撃。名指しこそ避けているものの、ブラジ
ルにも矛先が向けていることは明らかだ。
■連合にくさび
米国がブラジルを巻き込み進めているエタノール戦略には、環境問題
や石油の対外依存度引き下げだけでなく、反米勢力支援に使われるベネ
ズエラのオイルマネーを減少させる狙いも込められており、エタノール
問題は、反米か親米かの象徴といえる。
AP通信によると、両首脳は16日、サッカーの話題で談笑し、肩を
抱き合いながらもエタノール問題にはふれずじまいだった。しかし、ルラ大統領はサミット直前のラジオ番組で「ブラジルだけでなく、南米全
体の土地を利用すればエタノール原料と食料供給を同時に実現できる」
と語り、南米でエタノールの普及を目指す姿勢を明らかにした。
キューバ国営通信のプレンサ・ラティーナ(電子版)によると、ガス
パイプラインの建設と、これを資金的に支援する南米版IMFは、米国
とブラジルのエタノール戦略に対するチャベス大統領の「対抗策」との
位置づけだった。
報道によると16日、ルラ、チャベス大統領は、ベネズエラのアンソ
アテギ州に同国とブラジルの石油化学会社が合弁で建設する石油化学コ
ンビナートの着工式を共同で行うなど良好な関係を印象づけようと必死
だった。
しかし、欧米メディアは両首脳が「エタノール問題で衝突」(ロイ
ター通信)などと報道。チャベス大統領が狙う南米諸国の反米連合結成
に対して、ブッシュ政権がブラジルというくさびを打ち込む戦略は功を
奏した格好だ。
出典:FujiSankei Business i. 2007/4/18
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200704180036a.nwc