□ポーランド 英などに若者大量流出 失業率が大幅改善
2004年に欧州連合(EU)に加盟したポーランドの失業率がこの
1年間で、18%から14・9%へと大幅に改善している。経済が好調
であることに加え、無職の若者たちが他のEU諸国などに大量に流出し
ていることも大きい。ポーランド国内では、若者流出に伴う特定業種の
労働者不足も顕著になっており、現場からは悲鳴の声も上がっている。
(ワルシャワ 黒沢潤)
≪経済成長率6%≫
ポーランド統計局によれば、人口約3800万人の同国の2月の失業
者数は233万人と、前月比で0・2ポイント減少した。同国が民主化
を成し遂げた1989年以降、最も高かった03年2月(20・7%)
と比較した場合、実に5・8ポイントも激減したことになる。
失業率が大幅に低下した原因の1つは、同国経済がこのところ好調
で、今年の経済成長率も6%前後で推移していることが挙げられる。
また、無職の若者がここ数年、英国やアイルランド、北欧などに職を
求めて大量に流出していることも大きい。独メディアなどによれば、英
国内に在住するポーランド人は一説に、100万人ともいわれている。
ただ、特定業種の労働者不足が目立つようになり、ポーランド雇用連
盟「レビアタン」の最近の調査によれば、企業の43%が熟練労働者不
足に悩んでいるとの結果が出た。造船技術者、農業労働者、医者不足が
特に深刻で、都市別では、首都ワルシャワや南部クラクフが目立つという。
≪出る分を補う策≫
ポーランドにはEUから、高速道路の建設補助金などとして、07〜
13年の間に計380億ドルが供与されることになっているが、高速道
路などの建設が計画通り進まない場合、返却する必要性があるため、運
輸省では危機感を深めている。
バルツェロビッチュ元副首相兼財務相は産経新聞の取材に対し、「若
者たちがどこに行こうと自由だが、われわれは国内の経済改革を積極的
に推し進める必要がある」と力説した。
ポーランド南西部ブロツワフの市長なども自らメディアに積極主演
し、ロンドンなどに流れる若者たちに早期の帰国を呼びかけている。
ポーランド政府は05年、特定業種の労働力不足を補うため、ウクラ
イナ人(2697人)やベラルーシ人(610人)などに特別労働ビザ
を発給した。特定分野の労働者不足がこのまま続けば、失業率が依然と
して高いながら、今年も国外に労働者を求めざるを得ないジレンマを抱
える。
出典:FujiSankei Business i. 2007/3/30
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200703300035a.nwc