□米国MD計画:欧州、「冷戦」の再来を懸念
米国がヨーロッパ各地にミサイル防衛(MD)用施設を設置することを決めたことにロシアが強く
反発していることを受け、ヨーロッパで「新冷戦時代」が始まるのではないかと懸念する西ヨーロッ
パ諸国と米国との間に分裂の兆しが生じている。この事態を受け、米国は遅まきながらもロシア
の説得に乗り出している。
◆ロシア「ヨーロッパの軍拡を招く」と反発
米国がイランの長距離ミサイルへの対応を名分に、現在までにMD用のレーダー・迎撃ミサイル
基地の設置計画を公表した場所は、ロシアの西側のチェコとポーランド、ロシア南側のカフカス山
脈諸国だ。このうち、チェコとポーランドとは2011年までにMD施設を設置することで合意している。
こうした米国のMD計画に対し、英国と東ヨーロッパ諸国は賛成する姿勢を見せている。AP通信
によれば、英国ではイングランド中東部のファイリングデールズにMD用レーダー基地が既に設置
されており、さらにトニー・ブレア英首相は先月末、米国の新MD施設を英国に設置する案を検討し
ていると発表した。
これに対しロシアは、米国の計画がヨーロッパの軍拡競争につながると主張し、抗議している。
ロシア軍のニコライ・ソロフツォフ戦略ミサイル軍司令官は先月19日、「チェコとポーランドが米国の
MD体制に参加するならば、その施設をミサイル攻撃の目標とすることもあり得る」と警告した。北
大西洋条約機構(NATO)の拡大に危機感を感じているロシアは、米国が旧ソ連の庭だった東ヨー
ロッパ諸国にMD体制を構築しようとする試みに脅威を感じている。
しかし、米国防総省のMD局長を務めるトレイ・オベリング中将は、「ロシアの反発には根拠がない」
とする反論を7日、英紙フィナンシャル・タイムズに寄稿した。この寄稿でオベリング中将は、▲ポーラ
ンドに配置する米国の迎撃ミサイル基地は、ロシアが保有する膨大な量のミサイルにより容易に破壊
することが可能であり、▲ロシアのミサイルを迎撃するには、発射探知レーダーが追跡し、迎撃ミサイ
ルに情報を伝達するまでの時間が余りにも短いと主張した。
(画像)米国がヨーロッパに構築中のミサイル防御施設
http://japanese.chosun.com/site/data/img_dir/2007/03/08/200703080000562insert_2.jpg ◆西ヨーロッパは冷戦の再来を懸念
西ヨーロッパ諸国はMD計画に対し、再びヨーロッパに冷戦が訪れる可能性を懸念し、神経を逆立て
ている。最近、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は「MD計画に関し、米国はロシアの意見を聞くべきだ」と
発言した。ルクセンブルクのジャン・アッセルボルン外相はさらに一歩踏み込み、欧州連合(EU)外相会
談の席で、「米国の(MD)計画は理解できない。ロシアを窮地に追い込めばヨーロッパの安定も失われ
る」と米国を批判した。
◆米、ロシアの説得に方針を転換
国際紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンは7日、米国がロシアとの関係改善のために、ロシア
指導部とより集中的かつ頻繁な接触を持つ方向へ外交政策を修正したと報じた。
その影響として同紙は、先月、イランの核問題を協議するためにベルリンを訪問したコンドリーザ・ライス
米国務長官がロシアのセルゲイ・ラブロフ外相の意見を受け入れたことや、最近ホワイトハウスのスティ
ーブン・ハドリー大統領補佐官(国家安全保障担当)がモスクワを訪れ、「MDはロシアを狙ったものでは
ない」と説明したことなどが、外交政策の変更を示唆していると伝えた。
しかし、米国がヨーロッパにMD体制を拡大するという基本戦略を変更したわけではなく、摩擦の種は残さ
れたままだ。
出典:2007/03/08 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 李龍洙(イ・ヨンス)記者
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2007/03/08/20070308000056.html http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2007/03/08/20070308000057.html 関連スレッド:
【ロシア】米がポーランド・チェコにMD構築すれば攻撃も - 露ソロフツォフ戦略ミサイル軍司令官[070221]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1172078110/l50 ほか、いろいろご用意してお待ちしております。