【イラク】「掃討作戦」開始から2週間 シーア派、民兵温存[03/01]

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1 ◆MISAToVVZI @飛び出せ!! 釣り仲間φ ★
イラクのイスラム教シーア派民兵組織とスンニ派武装勢力を標的とした駐留米軍と
イラク治安部隊の大規模掃討作戦開始から2週間たった。最大の目標とされていた
宗派抗争による無差別殺人は激減したものの、これは宗派殺人の中心となっていた
シーア派民兵が事前に潜伏したためだ。シーア派側にうまくかわされた形の今回の
作戦では、宗派抗争の実行部隊は温存される一方、スンニ派武装勢力の仕業と
みられるテロも続いている。

イラクのマリキ首相が、首都バグダッドを中心とした民兵・武装勢力に対する大規模
掃討作戦を実施する考えを明らかにしたのは今年1月初め。「内戦」への懸念が
強まる中、イラク新政策を打ち出した米政府の強い要請を受けたものだった。
しかし、首相が作戦の公式な開始を宣言したのは2月14日で、実際の作戦開始は
遅れた。

ところが、1日40〜50人もの遺体がバグダッド市内各所で見つかるという無差別
殺人を実行していたとされるシーア派の民兵組織マフディー軍の司令官らに対し、
指導者ムクタダ・サドル師は、作戦開始前に「バグダッド撤退」あるいは「潜伏」
を指示。その後の無差別殺人の激減は皮肉にも、マフディー軍がスンニ派住民殺害
に手を染めていたことを浮き彫りにする結果となっている。

汎アラブ紙アルハヤートなどによると、サドル師は、マリキ首相の密使として派遣
されたジャアファリ元首相(シーア派)との会談で「マフディー軍潜伏」を決断
したという。「掃討作戦の対象はシーア派、スンニ派を問わない」との公式な
立場を取るマリキ首相も、マフディー軍の「一時的潜伏」により大規模掃討作戦
の目標の半分が、実質的に空振りに終わることを、暗黙のうちに認めていること
になる。

イラクの多数派として政府、議会の主導権を握るシーア派勢力にとって、コミュニティー
内部の権力闘争や思惑の食い違いはある。しかし、米軍の段階的撤退が視野に入ってきた
現状で、その後も“シーア派覇権”を維持するために独自の軍事力の温存は宗派全体と
しての中・長期的な“戦略的利益”にかなう。

このため、今回の作戦はこれまでのところ、実質的に「スンニ派武装勢力掃討作戦」と
なっている。

一方、スンニ派武装勢力によるテロは、作戦開始当初、下火となったものの、バグダッド
市内での爆弾テロが再び頻発し始めた。米軍当局者は、作戦開始前から20%ほどの
減少がみられるとしており、作戦は一定の効果を出しているものの、米軍側は
「スンニ派武装勢力は掃討作戦を観察し、別のやり方を考えようとしている」
と警戒している。

スンニ派武装勢力の中では、国際テロ組織アルカーイダの影響を受けたグループと地元
のスンニ派勢力が、緩い連携を保ちながら一般住民への無差別テロや米軍攻撃を続けて
いるとみられる。また、武装勢力側は相次いで米軍ヘリの撃墜に成功するなど、ゲリラ
戦の戦闘力をつけている兆候を示しており、自動車爆弾を爆発させる際、同時に塩素
ガスをまき散らすという初歩的な「化学兵器」にも手を染めようとしている。

米軍とイラク治安部隊は、自動車爆弾の取り締まりに力を入れ、バグダッド市内の通行
が不自由になっている。このため、米軍は、武装勢力側が従来以上に「自爆テロ」の
手法を多用してくると予測しており、スンニ派武装勢力に限っても、掃討作戦成功へ
のカギはみえていないのが現状だ。

ニュースソース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070301-00000021-san-int