ロシア・サハリン(樺太)沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の権益の過半数が、
露国営天然ガス独占企業体ガスプロムに譲渡されたことに、ロシア国内から批判の声が
上がっている。
地元サハリン州のイワン・マラホフ知事がこのほど、同事業をめぐる中央政府の政策に
ついて「一貫性に欠ける」などと指摘した。
露紙ベードモスチへのインタビューで語った。
サハリン2は、1994年に締結されたPSA(生産物分与協定)に基づいて外資だけで
開発が進められていた。PSAは開発資金を外資が負担する代わりに利益を優先的に
投資回収に充てる方式。
ガスプロムへの権益譲渡の背景にはロシアが過去の国際協定に不公平感を抱いていたことが
あった。
この点について、同知事は「PSAがなければ(州の)予算収入はより多かっただろう。
しかし、それが国家に資金のなかった10年前に締結されたことを忘れるべきでなく、
誰かを非難してはならない」と発言。
PSAに基づく開発でも、雇用確保や経営水準の向上、資源開発技術の導入などで地元に
多くの利益があったことを強調した。
知事はまた、当初契約後の連邦法改正でロシア側に支払われるロイヤルティ(鉱区使用料)
のうち州の取り分が60%から5%に減らされ、分与生産物(天然ガス)の50%を州に
配分するとした約束もほごにされたことを指摘。
こうした逸失利益が少なくとも年間40億ルーブル(約182億円)にのぼるとし、
「住民は資産分配に関して政府にだまされた。これはわれわれにとって悲劇だ」
と述べた。
天然資源の国家管理強化や税収の再配分による地方自治体の統制といった露中央政府の方針に、
資源を有する地方自治体が一定の不満を抱いていることを示した発言といえる。
他方、露天然資源監督局がサハリン2への事業停止命令の根拠とした環境破壊をめぐっては、
「(露国営ロスネフチが参加する)サハリン1はすべての当局の指示に対してサハリン2より
はるかに迅速に反応する」「ガスプロムにはロシアでの豊富な経験がある」として、
ガスプロムの参画を歓迎する気遣いも見せた。
ニュースソース:
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200701220018a.nwc