国連がイラクの旧フセイン政権下で実施した人道援助事業「石油・食料交換計画」を
めぐる汚職事件で、ニューヨークの検察当局は16日、同計画の総括責任者だった
ベノン・セバン元国連事務次長(69)=キプロス国籍=を収賄罪などで連邦地裁
に起訴した。
セバン被告は事件で起訴された最高位の元国連高官。
起訴状などによると、セバン被告は同計画に絡み、同時に起訴された石油会社役員の
エフレイム・ネイドラー被告(79)=米国籍=から約16万ドル(1920万円)
のリベートを受け取った。
ネイドラー被告はエジプト出身でガリ元国連事務総長の義兄弟。
イラクからの石油購入割当枠を得ようとセバン被告に働きかけていた。
セバン被告はキプロスに帰国しており、ネイドラー被告も海外に滞在しているとみられ、
米政府は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて引き渡しを求める。
しかし、キプロスは原則的に自国民の外国への引き渡しを認めていないという。
国連の独立調査委はセバン被告がリベートを得たと認定し、セバン被告は05年8月に
辞任した。
しかし、同被告は不正を否認しており、同被告の弁護士は16日、「米国はイラクでの
失敗から関心をそらせるため、セバン氏を政治的なスケープゴートにしようとしている」
との声明を発表した。
国連の「石油・食料交換計画」は人道用物資購入のため、国連管理下での石油輸出を認め、
96年から03年までの間に総額640億ドル(7兆6800億円)の石油が売却された。
しかし、03年のイラク戦争後、旧フセイン政権に委託業者から多額のリベートが渡って
いた疑惑が表面化し、国連職員の関与も明らかになった。
これまでに両被告を含め、14人が起訴されている。
ニュースソース:
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20070117k0000e030013000c.html