イラクのジャラル・タラバニ(Jalal Talabani)大統領は14日、ダマスカス(Damascus)
を訪れ、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領と会談した。
両国は、2006年11月に26年ぶりに国交を回復したばかりで、イラク首脳がシリアを訪れる
のは30年ぶりとなる。
大統領府で行われた会談に先立って、タラバニ大統領は記者団に対し、「両国の関係改善
に真剣に取り組む」と語った。
「わが国が最も苦しい時期にシリアからの支援があったことを、われわれは認識している」
(タラバニ大統領)
対するアサド大統領は会談後、イラクの国民和解と安定化に向けて援助を惜しまないと述べた。
国営シリア・アラブ通信(SANA)が伝えた。
「シリアは、イラクの人々が国民和解を遂げ、安全で安定した統一イラクを実現するのを助ける
用意がある。両国は安全保障を共有している。一国の治安を脅かす要因はもう一方の国にとって
も脅威となり、有益なものは両国に共通して有益なのだ」(アサド大統領)
■ 米国はシリアをテロ支援しているとして非難
シリアとの関係構築に積極的なイラク政府に反し、米国はイラク国内の武力衝突を煽っている
として、シリアを繰り返し非難している。外国人テロリストがシリアを経由してイラクに
入国し、同地で激化する反米武力闘争に加担しているのをシリアが黙認しているとの主張だ。
前週10日にはジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領が、駐留米軍の増派などを
盛り込んだイラク新政策の発表に際し、シリアとイランによるイラク国内の「テロリスト」
への支援を断固として断ち切ると宣言した。
一方でホワイトハウスは12日、米国がイラン、シリア両国への武力行使を準備しているとの
情報について、「だたのうわさで、都市伝説に過ぎない」と否定するという異例の措置に
出ている。
これに対しシリアは、昨年12月にイラクと国境の治安強化をめざした協定に調印しており、
両国の協力関係はすでにできていると反論。
ワシントンD.C.のシリア大使館は12日、「メディアや政治家らの間に広まっている議論に
反して、シリアはこれまでもイラクの治安維持と情勢の安定化に協力してきたし、
今後も協力していく」と発表した。
タラバニ大統領のシリア訪問は、コンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)米国務長官の
中東歴訪とも時期が重なった。ライス長官は先日ブッシュ大統領が発表したイラク新政策に
ついて、アラブ諸国の支持を取り付けたいとしている。
ニュースソース:
http://www.afpbb.com/article/1239990