ロシアの特務機関が1990年代初頭、危険人物の暗殺など非合法活動を行う秘密部隊を
創設し、現在も活動している可能性があると、同国の改革派新聞、ノーバヤ・ガゼータが
12日報じた。
同紙は、この秘密組織がプーチン政権批判の急先鋒(せんぽう)だった著名ジャーナリスト
のアンナ・ポリトコフスカヤさんやロシア連邦保安局(FSB)元幹部、リトビネンコ氏の
暗殺事件に関与した疑いがあると伝えた。
同紙によると、この組織は、ソ連崩壊後の大混乱の中でロシア政府が国家の安全保障を
脅かしていた組織犯罪などと戦うことを目的に90年代初めに創設を命じたのが始まり
だった。
同紙が入手した組織創設の「指示書」はまず、内務省、FSB、対外情報局(SVR)、
軍参謀本部情報総局(GRU)などの特務機関が、国家安保を脅かす犯罪組織とそのテロ
行為と戦わなければならないとしたうえで、政府機関のほかに銀行などの民間企業にも、
独自のエージェント網構築を求めた。
さらに、そうした秘密組織のカムフラージュ役の企業、公的組織の創設も必要だと指示した。
同指示書はこのほか、犯罪組織と実際に戦うことができる軍事実動部隊をロシア各地に創設
する必要があると指摘。
同紙は、それを「偽暴力団」と名付け、必要となれば危険人物の暗殺などに当たるとしている。
同紙はこのほか、これまでにこの秘密組織が関与したとみられる暗殺事件の数々の事例を挙げ、
これら事件の犯人も何者かに暗殺されたり不審死を遂げたりしている事実を列挙。
捜査段階でも「非常に権力をもつ立場の人間からの介入にあって(事件解明が)潰されている」
として指導部の関与をにおわせた。
同紙は「ロシアの特務機関が憲法に反した活動を依然行っている可能性が高い」と結論づけ、
検察当局、議会、安保会議に対し、早急に調査を始めるよう求めた。
暗殺されたポリトコフスカヤさんが所属していたノーバヤ・ガゼータ紙は、ゴルバチョフ
元ソ連大統領らが出資。
1週間に2日発行され、米国のライス国務長官が昨年10月にモスクワを訪問した際、同紙
の編集幹部らと会談し、哀悼の意を表明していた。
ニュースソース
http://www.sankei.co.jp/kokusai/world/070113/wld070113004.htm