ブッシュ米大統領は、イラクへの米軍増派を発表した。ただ短期的に死傷者数が増えるなど
リスクも大きく、新政策の成功は米国の力が及ばない多くの要因にかかっている。
イラク新政策では約2万1500人を増派、イラクに駐留する米兵は15万3000人以上
となる。
しかし、米国はこれまで、兵力がこれを上回った時期もあったが、それでも武力衝突の拡大
を止めることはできなかった。
国防総省によると05年1月に米兵の数はピークの15万9000人に達した。
そのため、治安悪化が深刻さを増しているイラクにおいて、大統領が発表した増派で十分に
対応できるのか、という疑問も残る。
昨年2月のサマラでのシーア派モスク爆破事件以来、宗派間抗争は激化している。
イラク増派に賛成する向きは、増派すれば米軍は武装勢力掃討後にバグダッドを掌握でき、
これは大きな変化だ、との期待感を示している。
米政府高官は、米軍がこれまで治安維持に失敗した理由として、敵の掃討後にその地域を掌握
できるだけの規模がなかったためとしている。
増派に賛成するアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のアナリスト、トム・
ドネリー氏は、新政策の実施後に米軍の犠牲者は少なくとも短期的には増加するものの、
作戦が成功すれば、1カ月か1カ月半後には、犠牲者数が減少する可能性がある、との
見方を示している。
イラクでは、2003年の米軍主導による侵攻以来、3000人以上の米兵が死亡したほか、
負傷者の数は2万2000人を超えている。
ワシントンで最も著名な軍事アナリストの1人であるアンソニー・コーデスマン氏は、新政策
について、ブッシュ大統領が提示できる最良の策だとしながらも「軍事上・政治上のリスクは
極めて大きい」と述べた。
ニュースソース
http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/2007-01-11T165033Z_01_NOOTR_RTRJONC_0_JAPAN-242289-1.html