元ロシア連邦保安庁(FSB)中佐アレクサンドル・リトビネンコ氏の変死事件は
捜査が難航し、解決のメドが立たないまま年を越した。
新たな殺害の動機説が浮上する一方で、露当局が破産したロシアの石油大手ユコスの
元幹部に捜査の矛先を向けるなど、事件は混迷の度合いを深めている。
死亡前のリトビネンコ氏を見舞った米国在住の企業コンサルタント、ユーリ・シベツ氏
が昨年、英BBC放送に語ったところによると、リトビネンコ氏は英国企業の委託で
8ページにわたるロシアの政治・経済にかかわる報告書を作成。
この中にロシアの機密情報が含まれており、それが何らかのルートでロシア政府高官に
知られた疑いがあるという。
シベツ氏は、リトビネンコ氏が元FSB職員アンドレイ・ルゴボイ氏らとホテルで会った
際に「自分の目の前で入れられたものではない紅茶を飲まされた」と語っていた、とも
明かした。
一方、露最高検察庁は昨年12月27日になって「(ユコスの元幹部)レオニード・ネブズリン
氏が関与した可能性がある」と発表し、事件はロシアで新たな展開を見せている。
ネブズリン氏は03年、ユコスの他の幹部が脱税や殺人容疑で逮捕されたのを受け、
イスラエルに逃亡。
ロシア当局が殺人依頼容疑などで国際手配している。
露最高検によると、ネブズリン氏がかかわったとされるモスクワの殺人事件で被害者宅など
から「水銀の蒸気」が検出され、リトビネンコ氏にからむロンドンの現場でも同様に水銀
が検出された、という。
真偽や関連性は不明だ。
露最高検はネブズリン氏の関与を調べる特別捜査班の設置を決めたといい、今後はイスラエル
などに身柄引き渡しを強く迫るとみられるが、昨年12月29日付の英フィナンシャル・
タイムズ紙は「露側の狙いはリトビネンコ事件の水たまりを泥だらけにすることだ」
とのネブズリン氏の支援者の発言を報道。
ロシアの狙いは捜査を混乱させることだ、として同氏周辺は反発している。
ニュースソース
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20070106k0000e030015000c.html