ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領顧問の間で、イラク増派問題ならびに
ヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)イラク首相への信頼をめぐり、亀裂が走っている。
ワシントン・ポスト(Washington Post)が5日、政府高官の談話として報じた。
同紙によれば大統領顧問らは、米軍の完全撤退に必要不可欠な軍事支援ならびに政治改革を、
マリキ政権に期待するのは無理ではないかと見ているという。
こうした懸念がホワイトハウス内に広がる一方で、ブッシュ大統領はドナルド・ラムズフェルド
(Donald Rumsfeld)前国防長官の事実上の更迭など、イラク政策に深くかかわった人事刷新を
実施。
さらに、近日中にもイラク政策改善を発表する予定で、着々とイラク政策を推し進めているかたち。
ワシントン・ポストによれば、大統領は新しいイラク政策を10日に発表予定で、その数日前には、
マリキ首相も新たな治安維持計画を明らかにする見込み。
■最大2万人規模の増派
今回の増派について、ワシントン・ポストを含む複数の国内ニュースメディアは、最大で2万人
規模と見られると報じている。
だがワシントン・ポストの記事によれば、大統領の軍事諮問である統合参謀本部は、増派により
失うもののほうが大きいとの見方を示している。
志願兵制の米軍は、イラク、アフガニスタンへの派兵ですでに多くの兵力を損失しており、
さらに2万人を増派するには、従軍期間の延長、予備役の再動員、配備計画の早期実施などが
必要とされる。
■イラク政府への不信感
米政府高官の間では、イラク政府への不信感も広まりつつある。
現イラク政権にシーア派武装集団を掃討する意志も力もなく、シーア派主導内閣に穏健政治を
推し進めることは不可能であり、少数派スンニ派にも利益となるような改革も実現しえない
だろうというのが高官らの見方だ。
懸念事項はそれだけではない。イラク兵の欠勤率・脱走率の高さを米軍高官が指摘するように、
米軍主導の軍事政策に対するイラク軍の貢献度も、疑問視されているのが現状である。
ニュースソース
http://www.afpbb.com/article/1209770