王族らがタカ狩りを楽しむ伝統が残る湾岸諸国で、輸入した野生のタカが高値で取引
されている。
産地のパキスタンなどでは密猟で、絶滅が懸念される種も出てきた。
カタールなど湾岸諸国では伝統を守るため、タカ取引の管理強化に乗り出している。
「アラビア半島では大昔からタカ狩りが行われてきた。われわれの文化の一部となって
おり、全面禁輸は無理だ。カタールはタカを継続的に利用するが、保護にも努めている」
カタールの環境・自然保護区最高評議会のガネム・アブドラ・ムハンマド野生生物保護
局長(47)は強調した。
カタールは2001年、絶滅の恐れがある野生生物の国際取引を規制するワシントン条約
に加盟。4〜7月の繁殖期にタカの密猟を防ぐため、2年前に輸入時期を9〜1月に制限
する国内法を施行し、密輸対策を徹底させた。
「販売されるタカはすべて胸にチップを埋め込んで登録する。条約の枠内でしか輸入して
いない」と局長。タカを連れて国外の狩りに出掛ける愛好者のためにタカの“パスポート”
を発行。港湾検査も強化し、密輸を防いでいる。
首都ドーハのタカ販売店には、エアコンが六台も設置されている。
ムハンマド・ドーサリ店長(30)は「温度を管理し清潔にしなければ当局から営業許可
が出ない。とても気を使っている」と話す。
「最近は野生のタカがたくさん入らなくなり、値段が高くなっている」とも。
安いタカは数千カタール・リヤルだが、容姿や訓練状況などが良い「王族向け」は100万
リヤル(約3200万円)の値が付くものもある。
カタールは昨期、約3300羽のタカを輸入したが、アラブ首長国連邦や欧州から人工繁殖
したタカの輸入も増えており、この店では約2割を占める。
だが、同店長は「野生のタカは餌の取り方を親が教えるが、人工繁殖したタカは人間が一から
教えなくてはならない」と指摘。野生のタカを求める客の声は依然根強いという。
ニュースソース
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20061231k0000e030032000c.html