サダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領(69)の絞首刑が30日、かつて自身の
政権時代に多くの拷問や死刑が行われたバグダッド(Baghdad)の処刑場で執行された。
死刑に立ち会った政府関係者の話では、元大統領は米国、イランを糾弾しイラクで内戦
を続ける武装勢力を称えるなど、最後まで強硬姿勢を保ち続けたという。
一方、元大統領の死刑への報復と見られる爆弾テロがイラク各地で相次ぎ、同日77人が
死亡した。
■放映された絞首刑の執行
死刑直前までの様子は、民間放送局で放映された。画質の粗い映像ながら、目だし帽を
かぶった死刑執行人が元大統領の首にロープをかける様子が撮影されている。
また、イラク国営テレビも白布で覆われた元大統領の遺体の映像を放映した。
ビデオの元大統領は白いワイシャツに黒いオーバーコート姿で、ヒゲには白髪が混じり
痩せ気味ながら、落ち着いた様子で死刑執行人らと言葉を交わしている。
屈強な執行人らは、元大統領の首筋をまず黒布で覆ったあと太い麻のロープをかけ、
元大統領を絞首台へと導いた。
元大統領に「人道に対する罪」で死刑を宣告した高等法廷判事の一人で絞首刑に立ち会った
Moneer Hadda判事は、「フセインは何も恐れていないように見えた」と死刑の模様を
AFP記者に語った。
「(絞首刑は)ぞっとする光景だった。予想に反して、サダムは自制心を保っていた」と
同判事は回想する。
「立ち会い人の一人が『恐しいか』と尋ねると、サダムは『自分の人生で何かを恐れたこと
は一度もない。私は最後の瞬間までイスラム戦士として生き死んでいくのだ』と語った」
Hadda判事はさらに続ける。「そして、サダムの首の骨が折れる音がした。本当に恐ろしい
光景だった」
■処刑後、懸念される宗派間抗争の激化
処刑後、フセイン元大統領の遺体は、バグダッド中心部の米軍管理区域(グリーンゾーン)
内に救急車両で移送された。
フセイン元大統領の政権下で24年間にわたって迫害を受けてきたイラクのシーア派らは、
同大統領の死刑を歓迎、祝砲や踊りを踊るなどお祝いムードだ。
しかし一方で、スンニ派の武装組織らは「米国の傀儡政政権がスンニ派の英雄を殺した」
としてイラク政権への非難を表明している。
死刑の執行によって、イラクの少数民族クルド人を弾圧、イラン、クウェートに侵攻を企て、
米国との戦争を2度も展開した独裁者、フセイン元大統領がイラクの政治の舞台から永遠に
消え去ったことは確かだ。
ニュースソース
http://www.afpbb.com/article/1203997