中米メキシコでは、迷惑なことに誘拐がビジネスとして定着している。
金持ちの誘拐し、多額の身代金を取るやり方だ。
富裕層の子弟は、誘拐が怖くて、普通の子どものように、公園で遊んだりすること
もできない。子弟を私立学校に連れていく運転手は銃で武装しており、さらに金銭
的に余裕のある家庭では、ボディーガードを子どもたちにつけている。
誘拐され、多額の身代金を請求されることに比べれば、この程度の“セキュリティー費用”
は決して高くないようだ。
実業家や金持ちを誘拐すのは、メキシコに限ったことではない。コロンビアでも頻繁に
起きている。誘拐し、家族の身代金を要求するのが手口だが、悪質なのは何だかんだ
といって何度も身代金を取るやり方だ。
身代金を払っても人質を帰さないことも起きている。
米メディアによると、首都メキシコ市に住む富裕層の子弟は、治安が悪化している一般
社会から、事実上隔離される形になっている。
誘拐が多発する社会環境になるべく近寄らないでおくというのが、誘拐されない秘訣を
考えているようだ。
富裕層の子弟は、家庭では、ナニー(子守り)が身の回りの世話を焼く。学校などに行く
場合は、運転手は銃を携帯し、子どもを守らなければならない。メキシコは貧富の差が
激しく、メキシコ統計当局によると、11%の特権層が、メキシコの富の88%を支配して
いるという。こうした子どもたちは、中南米諸国で多くみられる学校にも行けない貧困な
子どもたちとは、まったく無縁の生活をしている。
富裕層の子弟は、放課後はダンス、水泳、チェス、体操などのレッスンを受ける。
乗馬に通っている16歳の少女は、公園に行くのかとの問いに、逆に「メキシコに
(行けるような)公園があるのか」と問い返し、治安の悪さを指摘している。
誘拐一味は、金持ち層のリストを持っているといわれ、目立つ行為は危険な結果を
もたらす。このため子供たちの行動範囲も狭められている。
高級ショッピング街での買い物、友人たちを自宅に呼んでのパーティーなど、限られた
ものになっている。
ある保険会社の重役の息子(19)によると、彼の友人の一人が、2週間のわたって
誘拐されたが、現金を払った後、解放されたという。
彼のおじも誘拐されたことがあり、多額の身代金を払って解放された。
富裕層はこうした治安の悪化に対し、自衛策を講じているわけだが、作家のグアダルペ・
ロアエサさんは、富裕層の子弟は、貧困な一般社会から隔絶されていると述べ、その
様子を「金の鳥かご、つまり“刑務所”に住んでいる」と指摘している。
その上で「彼らは自分たちが住んでいる社会を理解しておらず、失われた世代だ」と
警告する。
またロアエサさんは、こうした若者の間に拒食症や、麻薬が広がっていることを明らか
にしている。
メキシコの富裕層は、子どもたちがスキーで足を追ったりすることよりも、誘拐されること
を心配している。子どもたちが各自、携帯電話を持ち、逐一連絡を取っている家庭もある。
ある母親は、「彼らは小さいバブルの中にいる。完全に保護されている」と話す。
金持ち層が週末に繰り出す高級モールでは、運転手やボディーガードが家族を見張る
光景が目撃されている。
ニュースソース
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2904633/detail