銃を捨てて労働しよう−。
米国防総省が、イラクの治安回復に向け新機軸を打ち出した。
戦乱の中で閉鎖されたイラク国内の工場を再開させることで、武装勢力兵士の
就職を支援。テロ攻撃の沈静化を狙う。米紙ワシントン・ポストが伝えた。
報道によると、イラク戦争の混乱で、以前は工場などで働いていたイラク人の
大部分が失業し、平均所得は以前の5分の1に激減したとみられている。
同省は、バグダッド市内での爆弾テロや米軍を狙った攻撃を繰り返す武装勢力には、
こうした失業イラク人が生活を維持するために加わっていると分析。
治安回復には、雇用機会の拡大が有効と判断した。
同省のプロジェクトチームは、過去半年にわたりバグダッドやナジャフなど治安が悪化
している地域で、旧国営工場200カ所のうち、セメント、繊維、ゴム工場など26カ所を
視察した。
この中で操業可能な10工場を来月までに再開し、まず1万1000人分の雇用を確保。
数カ月以内に段階的に再開工場を増やす考えだ。
治安回復が遅れている中で、米企業などによる新規投資は望めないため、再開した
工場で作られた製品をイラク駐留米軍が買い取る方式で支援する。
年間40億ドル(約4680億円)の駐留経費の多くは、これまで周辺のヨルダンやクウェート
からの物品購入に当てられていたが、このうち4分の1に当たる1億ドル分についてイラク
製品に切り替える計画だ。
さらに、米国政府はイラク駐留米軍撤退の可能性をにらみ、米軍による調達分を米国企業
に肩代わりさせたい考えだ。
商務省は建機大手、キャタピラーや化学大手、ダウ・ケミカルなど米企業数十社に、イラク
地場企業との取引拡大を打診。
複数の企業が米国政府の方針に協力する考えを表明したという。
ニュースソース
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200612190017a.nwc