世界的な銅の需要の伸びを背景に、米国では銅製品の盗難が増加している。
中国やインドにおける建設ブームを背景に、銅の需要は昨年に激増し、現在でも前年比
の倍増で推移している。
ペンシルバニア州ピッツバーグのスクラップ金属販売業者によると、曲げたりはんだ付け
された「第2種銅」の仕入れ値は現在、1ポンド当たり2ドルと前年(65セント)の3倍を
超えている。
同市でトラック運転手をしながら集合住宅を賃貸しているマイク・ロスコー氏が最近、
貸し出し予定の手持ちの住宅に立ち寄ったところ、2軒の間から水が漏れているのに
気づいた。
警察が「真夜中の配管工」と呼ぶ泥棒の仕業で、銅の水道管約20ポンド分が盗まれていた。
現在の銅相場で換算すると、泥棒は最低時給5.15ドルとして8時間分を稼いだことになる。
街頭や携帯電話の無線塔から銅を盗むのは、大半が小金欲しさの麻薬中毒者の仕業だが、
ピッツバーグではここ数日間でロスコー氏の被害と同様の窃盗が8件起きた。
1400以上の業者で構成するスクラップ金属再利用業協会(ISRI)の広報担当者は、
「合法的なスクラップ資材と盗まれた物は見分けにくい」と説明する。
ISRI傘下のスクラップ処理場は、国内で計3000カ所を超える。
ISRIでは、全米犯罪防止評議会と連携して盗難撲滅運動を展開しているほか、各業者に
くず金属の売買の現場をビデオテープに収めるなどの対策導入を呼び掛けている。
ピッツバーグの場合、業者に購入先の身分証明書の写しを保管し、取引終了後に警察に
提出するよう義務付ける条例が何十年も前に成立しているが、当局が同条例の適用を
始めたのは今年になってから。
取り締まりの開始で逮捕者数は増えたものの、市外の業者は条例の対象ではない。
業者側は疑わしい銅は買わないと主張するが、警察関係者は「そこら中、あやしい銅
だらけだ」と話した。
ニュースソース
http://www.usfl.com/Daily/News/06/11/1130_021.asp?id=51634