インドの首都ニューデリーで、法律に反して住宅専用地区に建てられた小売
店やレストランなどを市当局が相次いで封鎖し、店主や従業員らが路頭に迷って
いる。対象となる店舗は約4万4000に上る。封鎖が続けば職を失うなど50
万人が影響を受けるとの見方が出ている。
ニューデリー市当局は昨年12月以来、裁判所命令の下、住宅地区内の店舗や
公共用地に違法に造られた建物をブルドーザーで破壊したり、施錠・封鎖したり
してきた。店主の反発は激しかった。抗議行動を断続的に行い9月には騒乱に発
展、4人が死亡した。抗議行動は11月に入っても続き、首都は騒然とした。
締め出された人には救済策が講じられていない。店を封鎖されたレストラン主
は「合わせて70〜80人の従業員を雇っていたが、皆、職を失った」と憤る。
インド女性の伝統衣装サリーの専門店を営んでいたハルシュ・シェガルさんは
「従業員は物ごいになるしかない」と深刻な表情だ。
店主らの怒りの背景には、有無を言わさぬ強制措置に加え、市当局が店主らか
らわいろを受け取りながら30年近くにわたって違法店舗を認めてきたことがあ
る。その市当局が今、店舗から人を追い出す側に回っている。
無秩序な都市計画と当局の腐敗を背景に、ニューデリーの建物の8割は違法か
それに近いとされる。「司法は現実を考慮すべきだ」との声もあるが、最高裁は
封鎖を続ける方針を明確にしている。(ニューデリー 時事)
FujiSankei Business i. 2006/11/20
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200611200024a.nwc