ベトナムの首都ハノイで開催されていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)が
19日、終了したが、一連の会議では高度経済成長を背景にアジア太平洋地域
で台頭する中国に対し、日本と米国、オーストラリアの3カ国が連携してあたる
場面が目立った。
APECは、地域間の枠組みとしては日米豪3国が揃って参加する唯一のもの。
来年の議長国は豪州だけに、APECにおける“民主連合”が連携する動きが
さらに加速しそうだ。
日本が参加するアジア太平洋地域の多国間枠組みとしては、東南アジア諸国連合
(ASEAN)プラス3(日本、中国、韓国)や、東アジア首脳会議(ASEAN10カ国、
日、中、韓、インド、豪州、ニュージーランド)があるが、いずれも米国は枠外に
置かれている。
ASEAN地域フォーラム(ARF)には米国も参加しているが、同フォーラムは安全
保障問題をめぐる各国の意見交換の場にすぎない。
従来、日米豪3カ国は世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)
をめぐる立場が異なり、ドーハ・ラウンドの再開を最優先課題に掲げるAPEC内では
微妙な関係にある。
ただ、今回のAPECでは「3カ国が連携して取り組む場面がかなり増えた」
(APEC関係者)という。
まず、知的財産権保護をめぐって、海賊版や模倣品の製造・流通段階での排除を目指した
ガイドラインが策定されたが、海賊版・模倣品対策は中国などで問題となっている分野で、
「ここ数年、日本と米国がイニシアチブを取って中国を指導してきた」(同)。
中国が反対していた、政府機関によるソフトウエアの不正使用禁止についても合意に
こぎ着けた。
北朝鮮問題でも外相レベルの日米豪戦略対話を開催するなど、北朝鮮に関する声明の
取り扱いをめぐって足並みをそろえた。
APECの機能強化でも3カ国の共同歩調が目立った。
これらの問題で日米豪と異なる立場に立っていたのが中国だ。
中国は近年、高度経済成長を背景に域内で存在感を強めており、ASEANプラス3や
東アジア首脳会議で日本と利害対立する局面が増えている。
日本としては「民主主義という同じ価値観を共有する」(安倍晋三首相)米国や豪州とともに
参加するAPECの枠組みを活用する意義は小さくない。
ニュースソース
http://www.sankei.co.jp/news/061119/kok003.htm