全米で今年46人目の死刑囚の刑が執行される - 全米
【シカゴ/米国 24日 AFP】
モルモン教の元牧師で、1989年に信者5人を殺害したとして有罪判決を受けていた
Jeffrey Lundgren死刑囚(56)の刑が24日午前、オハイオ(Ohio)州ルーカスビル
(Lucasville)で執行された。現地時間10時26分に同死刑囚が薬物注射を受けたと、
同州の更正局が発表した。
■教会奪回が使命
Lundgren死刑囚は、横領疑惑で彼を追放した教会を力ずくで奪回することを使命だと考える
20人ほどの信者グループを率いていた。裁判記録によると、奪回任務に成功することによって
イエス・キリストの再来が実現すると述べていたが、任務遂行には何人かの犠牲が必要だと主張していた。
■第1の犯行
1989年4月17日、妻と息子、信者10人の協力を得て、同死刑囚は夕食に招待した
信者グループに所属する夫婦とその3人の子どもたちを殺害し、後に遺体を埋葬した。
殺害された子どもたちはそれぞれ7歳、13歳、15歳だった。
殺害された5人は、実際に同死刑囚を「お父さん(Dad)」と呼ぶほど慕い、
給与その他の多額の金を献金として信者グループに提供していた。
■献金の着服が発覚、農園に移り住む
1987年、Lundgren死刑囚は、信者から不当に献金を集め着服していたことが発覚したとして、
教会近くの宿舎から立ち退きを命じられた。その後、同死刑囚は家族と彼の崇拝者らを連れ、
農園を借りて移り住み、指導を続けるとともに、もしカートランド教会を奪回することができたなら、
地震が教会を持ち上げ、イエス・キリストが再来して約束の地シオンを再建するとの説教を始めた。
また、教会奪回に向け、準軍事的な訓練を開始。「ブドウ園の手入れ」と称し、
シオン再建には10人の信者の犠牲が必要だと述べるようになった。
■第2の犯行
同死刑囚は、信者グループの中心からは外れていて、信者の集会にもたまにしか招かれない
Avery一家に、ワイオミング(Wyoming)州への移住を指示し、数日後に彼らを夕食に招いた。
夕食後、同死刑囚は納屋に行き、そこへ一家を1人ずつ呼び入れた。夫のDenis(49)、
妻のCheryl(46)、Trina(15)、Rebecca(13)、Karen(7)の3人の子どもたちはそれぞれ縛られ、
猿ぐつわをされ、穴の中に座らせられた。
Lundgren死刑囚が彼らを射殺し、信者らが土や石をかぶせて埋めた。
■「第2の妻」選びで事件が発覚
事件後、同信者グループはウェストバージニア(West Virginia)州の山岳地帯にある
キャンプ場に7か月間滞在した。そこでLundgren死刑囚が「第2の妻」を選び始めたことから、
グループの中に内紛が発生。
自分の妻を指名されたある信者が警察に駆け込み、Avery一家殺害事件を告白した。
Lundgren死刑囚の妻、息子、3人の信者に終身刑が、残りの信者のうち8人に執行猶予付き
懲役1年−懲役25年の実刑判決が出ている。
■全米で今年46人目の死刑囚
Lundgren死刑囚は、今年全米で刑が執行された46人目の死刑囚となった。
現在、3300人を超える死刑囚が執行待ちの状態だ。
写真はテキサス州ハンツビル刑務所の死刑執行室。(c)AFP/Paul BUCK
http://www.afpbb.com/article/1016527?lsc=1&lc=3