【ワシントン=藤井一明】米政府は宇宙開発の基本指針となる「国家宇宙政策」を約10年ぶり
に見直した。平和利用の原則を堅持しつつも、安全保障を重視する路線を強調した点が特徴。
国際社会が今後、米国の活動を制約しかねない協定などを定めた場合には、これに反対する
方針を打ち出した。衛星などを通じた情報収集活動も強化する。民生部門での研究強化を柱
とした従来の政策から大きくかじを切った格好だ。
ブッシュ大統領は今年8月末、新政策に署名。米紙などに一部の内容が漏れたため、24日に
文書の機密指定を解除した。1996年9月にクリントン政権が策定した従来の政策は、国際協
力による宇宙基地の建設やスペースシャトル新型機の開発を柱としていた。
新政策は背景、原則、目標、指針などで構成。「(国際間で定める)軍備管理協定や規則が
米国の研究、開発、実験、その他の活動を妨げてはならない」と明記した。同時に専門家の
育成、国防総省や米航空宇宙局(NASA)の取り組み、設計や開発の面で民間企業の参加
を促す方針だ。
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20061025AT2M2500M25102006.html