【バンコク=太田誠】
AFP通信によると、タイ最南部のナラティワート県で21日朝、バイクに乗っていた仏教徒の男性(32)が銃で撃たれ、死亡した。
遺体の上に「お前たちが我々の人民を殺した。これは報復だ」と記されたメモが残されていた。
最南部でテロ活動を行っているイスラム武装勢力の仕業と見られる。
同県では20日夜にも男性が射殺されたほか、
隣接するパタニ県でも20日夜から21日にかけて男性2人が銃で撃たれ死亡した。
同通信によると、15日からの1週間でテロによる死者は27人に上っている。
(2006年10月21日21時4分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20061021id22.htm 関連情報
海外安全ホームページ-タイ-テロ概要
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/info4_T.asp?id=007 (2)国内のイスラム系分離独立主義過激派の動向
タイ南部においては、2001年末から2003年末まで軍前哨部隊や警察官等を対象とした襲撃事件が発生し、
軍・警察関係者が殺害され、多数の武器類が強奪される事件が発生しました。
2004年1月以降、国内のイスラム系分離独立主義過激派の活動が強まり、
軍武器庫襲撃及び武器強奪事件、警察署襲撃事件、学校等への放火事件、空港、市場及び歓楽街等への爆弾テロ事件、
教師、仏教徒及び公務員に対する暗殺事件等が続発し、同時に相当数の武器類が強奪されました。
これらの事件については、その多くが未解決のままですが、
南部タイにおいてパタニー王国の独立を標榜する国内のイスラム系分離独立主義過激派の犯行とされています。
タイ政府は、南部問題解決に努力していますが、現在も、連日学校等への放火事件、爆弾テロ事件、
教師、仏教徒及びタイ公務員等の暗殺事件等が続発しているほか、
暗殺後の頸部切断事件等卑劣な事件も散発している状況であり、事件が治まる状況はみられません。
また、政府側に協力したイスラム系住民に対する見せしめとみられる事件も発生しています。
イスラム系分離独立主義過激派は、地元住民に対し、自らの存在意義と実行力を誇示し、
デモンストレーション効果を狙っているとの見方もあります。
このようにタイ最南部のテロ問題は、当分の間、問題が解決する状況はみられません。
また、JI、アル・カーイダ等の国際テロ組織イスラム過激派との関係も懸念されることから、
これら国内のイスラム系分離独立主義過激派の動向を今後とも注視する必要があります。