県のウイルス肝炎医療費給付事業で9月末で打ち切る通院費補助について、汚染血液製剤
投与歴のある患者に限って補助継続の方針を示した県が、対象者の認定法を決められずにい
る。カルテか主治医による投与歴の証明で継続を認定する考えだが、ほどんどがカルテでの
証明が無理とみられる上、患者の記憶などを根拠に認定ができるのかも定まらないためだ。医
師や患者からは「完全な証明は無理」との指摘が多く、打ち切り期限を前に、いらだちを募らせ
る患者もいる。
県は本年度、事務事業の見直しで、肝炎患者の医療費補助を10月以降、通院費を対象から
外し、入院費に限定。ウイルス肝炎を広めたフィブリノゲンと非加熱血液凝固因子製剤の投与
歴のある患者は、薬害の可能性があるとし、引き続き通院費も補助する考えを示した。
しかし、製剤が盛んに投与されてから年月がたつなど、県内でカルテで証明できる患者は「1
人も把握していない」(県健康づくりチーム)のが実情。患者の現在の主治医が問診などで投与
の可能性をカルテなどで示せば補助継続を認定する−との考えを持つが、可能性だけで公平
な認定か、疑問の声もある。
C型肝炎の通院治療を続ける長野市内の女性(58)は、30年近く前の出産時にフィブリノゲ
ン投与を疑うが、医療機関にカルテはないと言われた。別の同市内の女性(79)は、補助がな
くなると1カ月1万数1000円が自己負担に。「少ない年金生活には高額。感染経路の証明は
今さら無理」と嘆く。
インターフェロン治療に月数万円かかる患者も多く、長野市の医師は「9月末で治療を止めよ
うという人が出ている」と危機感を強める。松本市の医師は「カルテに透明性が求められる今、
患者の申告だけで投与の可能性を書けば、偽造にもなりかねない」と指摘する。
県健康づくりチームは「9月末までに認定法が示せなかったのは申し訳ない。10月中には結
論を出したい」とし、該当者に対して、10月当初にさかのぼって適用する考えを示している。
ソース
http://www.shinmai.co.jp/news/20060928/KT060926FTI090025000022.htm